2017年4月13日 第15号

 ブリティッシュ・コロンビア州議会は11日、正式に選挙戦に突入した。クリスティ・クラーク州首相は同日ビクトリアで副総督に議会解散を報告。決戦の日まで三つどもえの戦いが続く。

 選挙戦はすでに始まっていた。クラーク党首の自由党も、野党第一党BC新民主党(NDP)も、選挙戦用の広告での批判合戦をするなど、非公式には始まっていたが、この日、正式に選挙戦が始まった。

 ビクトリアで記者会見をしたクラーク党首は、自由党は5期連続黒字予算を実現し、雇用を増やし、BC州経済の成長を押し上げてきたと語った。さらに、この後の4年間もそれが続くはずだと、さらなる経済成長と雇用促進、州民第一の政策を強調した。

 前日には基本政策も発表。選挙戦用の大きな目玉となる政策はなかったものの、これまでと変わらず経済最優先を掲げた内容となった。

 NDPは、基本政策発表こそしていないものの、その一端は垣間見せている。州全体での雇用促進、民間企業を取り込む公共投資など経済政策や、1日10ドルのデイケア、最低賃金15ドルなどの社会制度改革を掲げている。

 BC州では基本的に、この2党の争いで、前回選挙では自由党が47議席を獲得。NDPは35議席。他にグリーン党1議席、無所属2議席となっている。

 しかし今回の選挙では、グリーン党が台風の目になるのではとみられている。10日までの支持率調査では、NDPが41パーセント、自由党38パーセント、そしてグリーン党が19パーセントと伸ばしている。

 支持率と言えば、前回2013年選挙では、やはりNDPが自由党をリードしていた。一時は20ポイント差をつけるほどで、NDP勝利確実ともいわれたが、投票結果は自由党の圧勝。そのため、現時点での支持率はそれほど重要視されていないが、それでもグリーン党の支持率は注目に値する。

 党首への支持率は、トップはやはりNDPジョン・ホーガン党首で37パーセント、次いでグリーン党アンドリュー・ウィーバー党首で35パーセント、最後は自由党クラーク党首30パーセントとなっている。

 今回の選挙の争点は、経済政策を各党とも重要視しているが、有権者の関心は、住宅、貧困、ホームレス問題がトップで、次いでヘルスケア、経済、雇用、さらに環境問題と続く。

 さらに、クラーク自由党の献金問題やトランスマウンテン・パイプライン拡張計画も争点となると予測されている。献金問題については、現在BC州はほとんど規制がないとされている。献金上限もなく、企業・労働組合からも、国内外からも献金を受けられる。

 これについては自由党、NDPとも恩恵を受けているが、問題となったのは自由党がクラーク党首の献金パーティー額が1件につき5千ドルと高額なことや、ロビイストが企業の代理人として献金していること、さらには献金の多い企業を契約などで優遇していることが明らかになり問題視されている。NDPは献金規制を行うと公約として掲げている。

 トランスマウンテン計画では、昨年11月連邦政府が承認し、続いて自由党政権も州政府が提示していた5条件を満たしたとして承認した。しかし、この計画には反対が根強く、環境活動家や先住民族だけでなく、周辺住民、バーナビー市、バンクーバー市など関連市町村も反対を表明しており、この問題を争点としてグリーン党が票を伸ばす可能性も高いとみられている。NDPも拡張計画反対を表明し、政権を取った場合は承認を白紙に戻すとしている。

 2001年に誕生したゴードン・キャンベル政権から続く自由党政権は、5期連続を目指す。選挙は5月9日。今回は、これまでの85議席に新しく2議席加わり、87議席になる。

 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。