2017年2月16日 第7号

 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーで1月18日、託児所内で1歳児が死亡した事故を受け、託児施設の改善政策を州政府に求める声が高まっている。

 死亡したマカラン・ウェイン・サイーニちゃんは、もうすぐ16カ月になるところだった。死因については現在調査中で、明らかにされていない。

 託児施設改善について政府に働きかけているシャロン・グレッグソンさんによると、BC州内にはおよそ36万人の子供の母親が仕事を持っているが、認可保育施設は10万5千カ所足らず。多くの子供が無認可託児施設に預けられているのが現状だ。

 サイーニちゃんの死を無駄にしないためにも、託児システムの大胆な改革が必要だとグレッグソンさん。多くの親たちが、託児所の空きスペースを血眼になって捜したり、何かを犠牲にしなければならなくなったりしているが、手ごろで安全に子供を預けられる場所のために、自分たちは戦い続けていくと取材に語っている。

 バンクーバー・コースタル保健局によれば、サイーニちゃんが死亡したイースト・バンクーバー地区にある託児所は無認可だった。認可託児施設であれば、地元の保健局職員が定期的に施設を訪問、保健および安全基準が守られているかどうかをチェックすることができる。

 託児所不足は、BC州全体で常態化している。またバンクーバー市の育児費用は、カナダ国内で3番目に高額となっている。2歳と4歳の子供を持つ家庭が負担する育児費用は、月に約2200ドルとなっている。

 グレッグソンさんはケベック市が20年前に導入した、州政府の補助による1日10ドル託児システムを引き合いに出し、これがBC州での問題解決になるとしている。しかしBC州子供と家族省の試算では、そのようなシステムに州政府がつぎ込む予算は年15億ドルに上り、現実的ではないとしている。

 これに対しグレッグソンさんは、橋や道路、また低価格住宅への投資が可能なら、託児システムへの初期投資も不可能な理由はないはず。また、その投資はすぐに回収できると力説していた。

 

 

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