2017年2月9日 第6号

 先月の内閣改造を受け、政界から事実上引退する2人のベテラン議員が1月31日の国会であいさつ。与野党の議員から大きな拍手を受けた。

 引退するのは、ジョン・マッカラム前移民相とステファン・ディオン前外相。マッカラム前移民相は、内閣改造時に中国大使として就任することがすでに発表されていた。中国語もこなす元経済学教授は、ジャン・クレティエン自由党政権時代の2000年に議員として初当選。ポール・マーティン政権では閣僚を歴任した。2015年10月、自由党が再び政権復帰後に移民相に就任。最も印象深い仕事は「シリア難民の受け入れ」と語った。カナダは昨年末までに約4万人のシリア難民を受け入れている。難民を積極的に受け入れるというトルドー政権で大きな役割を果たした。

 ディオン前外相は、米ドナルド・トランプ大統領の就任により英仏露の3カ国語に堪能でアメリカとロシアに精通するクリスティア・フリーランド前国際貿易相が外相に抜擢されたため、政界引退ではとの見方が強く、引退後については発表されていなかった。

 しかし、この日のあいさつで自らが欧州連合とドイツの大使の兼任を任されたことを公表。昨年カナダが自由貿易協定合意に成功した欧州連合からイギリスが離脱するという転換期に大使を任され、さらにドイツ大使も兼任するという驚きの配置転換となった。

 ディオン前外相は、1996年に当時の自由党政権クレティエン首相からの要請で政界へ。ケベック州の独立運動に備えた法整備に尽力。ケベック州が一方的に独立を宣言できないとしたこの法律は、カナダを一つにするとして与野党一致で可決された。

 2006年には野党第一党自由党党首に就任。2008年総選挙で「グリーンシフト」を掲げて戦ったが、リーマンショック直後のカナダで経済再建を主張した保守党に再び敗れ、党首を辞任した。

 トルドー首相は、2人の尽力でカナダがより一つになったと貢献を労い、国会がさみしくなると言葉を贈った。マッカラム前移民相は、「包容力と賢明さを持って、カナダがさらに良くなるよう頑張ってください」と現職議員にエールを贈った。

 

 

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