2017年2月2日 第5号

 トランプ米大統領が1月27日、イスラム圏7カ国出身者の一時入国禁止を命じた大統領令に署名したことにより、国境をはさんで生活しているカップルに試練がふりかかった。

 アルバータ州エドモントンに住むサグハー・ソバハーンさん(22歳)は、4年前に家族と母国イランから難民としてカナダに入国した。ソバハーンさん一家は、イランで19世紀半ばに創始されたバハーイー教を信じているが、イラン国内では少数かつ異端であり、彼女の母親は投獄されたこともあったという。そのため彼らは長年、イラン国外に定住地を求めていた。

 現在はアルバータ州大学で金融と貿易を学んでいるソバハーンさんには、アメリカ・カリフォルニア州に住むボーイフレンド、サハーブさんがいる。二人はかつて難民として暮らしていたトルコの町、デニズリで知り合った。

 そして4年ほど前、さらに別の場所に移らねばならなくなったとき、サハーブさんは家族と共にカリフォルニア州に向かった。彼はそこで宇宙工学を専攻している。

 二人の長期計画は、いずれかが安定した収入を得られるめどが立った段階で、その国で一緒に暮らすというものだった。

 ところが件の大統領令以来、ソバハーンさんはアメリカに入国できなくなった。またサハーブさんも一度アメリカ国外に出てしまったら、再入国できる可能性はほとんどない。つまりお互いに会うすべを失ってしまった。このような混乱は即刻解消されなければならない、アメリカ国民が行動を起こすことを信じていると、ソバハーンさんは取材に訴えていた。

 

 

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