2017年2月2日 第5号

 ヌナブト准州の沖合いで、地元先住民の猟師らが聞いた謎の音の正体を突き止めるため、カナダ軍が音響専門家2人を、地元パトロール隊に派遣すると1月19日発表した。

 怪音が聞かれたのは昨年11月のことで、場所は北西航路とハドソン湾の中間に位置するフューリー・アンド・ヘクラ海峡。

 遠浅のこの海峡はふだん、クジラの仲間のイッカク、ホッキョククジラ、またワモンアザラシやアゴヒゲアザラシなどが集まる海域として知られている。しかし地元イグルーリックの猟師らは、この怪音のあと全てが姿を消してしまったと話している。

 それ以来、あれは何か海洋生物の異常な鳴き声であるとか、正体不明の潜水艦から発せられた音、はたまた集団幻聴だったなど、さまざまな憶測が飛び交っていた。

 彼らと共に、最初に怪音が聞こえた場所に向かった地元の準州議員ポール・クアッサさんは、それがあたかも海の底から響き渡ってくるような、大きな音だったと表現している。

 カナダ軍はその時、海中の音を採取するソナーを装備した哨戒機を現場付近に向かわせたが、約1時間半の探索では2頭のクジラと6頭のセイウチ以外、なんら音響的な異常や物体は発見されなかった。

 それ以後は怪音が聞かれることがなかったため、この件の調査は打ち切られていた。しかし地元先住民の不安を解消するために、軍は2人の音響専門家を、1月25日から2月2日にかけて計画されていた、カナディアン・レンジャーのパトロールに同行させることにした。

 カナディアン・レンジャーは、5千人ほどの先住民の補助予備役。広大かつ人口がまばらなカナダの北極圏のパトロールを担当する。

 

 

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