2017年1月19日 第3号

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州クリスティ・クラーク州首相は11日、キンダーモーガン社が手掛けるトランスマウンテン・パイプライン拡張工事計画を承認すると発表した。

 これまでクラーク州首相は5つの条件が満たされなければ州として認めるわけにはいかないという姿勢を示していた。今回の発表では、この5つの条件が満たされたと承認した理由を語った。

 5つの条件とは、完全な環境調査の実施、BC州沿岸でのオイル漏れ対応システムの確立、陸上でのオイル漏れ防止策の設定、先住民族への対応、BC州が経済的な恩恵を受けること。

 クラーク州首相は、今後20年でキンダーモーガン社から最大で10億ドルに相当する経済的補償で合意したことも明らかにした。

 トランスマウンテン・パイプライン拡張工事計画とは、総事業費68億ドルのアルバータ州エドモントン近郊からBC州バーナビー市までの既存のパイプラインを拡張する計画。完成すれば、オイルサンド輸送量が3倍となる。そしてバーナビー市からアジア市場へと輸出される。そのため、バンクーバー近郊を航行するタンカー量は現在の7倍になると試算されている。

 この計画は、自由党政権ジャスティン・トルドー首相が昨年11月に157項目の条件付きながら、連邦政府として承認することをすでに発表している。

 これでBC州政府も承認となり、アルバータ州レイチェル・ノッテリー州首相は今回のクラーク州首相の発表を歓迎した。

 ただ、BC州ではこの計画に対する反対も根強い。関係する先住民族や環境活動家はもちろん、バンクーバー市やバーナビー市など関係する市の市長も強く反対を表明している。すでに法廷で争うことを表明している団体もある。

 もし全ての条件がクリアになれば、パイプラインは2019年から稼働する予定。

 BC州では今年5月に州議会議員選挙が行われる。同州野党新民主党(NDP)ジョン・ホーガン党首は、なんとしてでもこの計画を阻止するとし、選挙の争点にする構えを見せている。

 

 

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