2017年1月1日 第1号

 オンタリオ州セント・キャサリンズの水彩画家、ジョディ・エドワーズさんは、立ち寄った衣料品量販店ウィナーズで、わが目を疑った。

 彼女が描いた鳥の羽と全く同じデザインのブラウスが、店内で堂々と売られていたのだ。さらに調べてみると、このブラウスは同様の量販店マーシャルズや、アメリカの高級デパート・ノードストロームのアウトレット店、ノードストローム・ラックでも売られていることが判明した。

 自分の作品が無断で使われたことにショックを受けたエドワーズさん、ウィナーズとマーシャルズの親会社であるTJXカナダと、ノードストローム・ラックにこの件を伝えた。

 TJXカナダは、このブラウスの販売を停止すると答え、ノードストローム・ラックからはすでに在庫がなくなっているとの連絡を受けた。しかしエドワーズさんに支払われるべきデザイン使用料については、こうした小売店からではなくサプライヤー、今回の場合はアメリカ・ロサンゼルスにある会社が支払うものだと告げられた。

 このサプライヤーについてメディアが調べたところ、電話番号は使用されておらず、また8つの異なる名前、13の住所を使い分けていることも判明した。最終的にメディアは連絡を取ることに成功したものの、電話も電子メールも返信なしだった。

 そんな中、逆にサプライヤーの法的代理人の弁護士事務所から、エドワーズさんに連絡が入った。いわく、メディアが取り上げた盗用疑惑のデザインは、インターネット上で画像等の提供サービスを行っているシャッターストックから入手したもので、エドワーズさんの作品とは無関係だというもの。

 その上でサプライヤーは、和解金も含めこの件を彼女と友好的に解決する用意があると告げている。またTJXカナダも、エドワーズさんとの交渉に応じるよう、サプライヤーに圧力をかけると申し出た。

 カナダの著作権法では、知的所有権を侵害した商品であっても、それを故意に売らない限り責任は発生しないと専門家は説明する。つまりエドワーズさんのブラウスを販売したウィナーズなどには、売り上げの一部をエドワーズさんに提供する義務はないという。

 一方アメリカの法律では、販売に携わった全ての関係者に侵害の責任が発生する。今回のデザイン盗用はアメリカのサプライヤーによるものなので、エドワーズさんはアメリカで訴訟を起こすことも可能だが、そのための費用と、訴訟から得られる使用料を考えると、その選択肢はないだろうと取材に語っている。

 そのかわり、ウェブサイトに掲載する自分の作品にはすかしを入れたり、画像の解像度を落としたりして流用できないようにする対応をすることにした。

 

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