2017年1月1日 第1号

 ジャスティン・トルドー首相は12月20日、ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市を訪問。2艘の曳航船をカナダ西海岸に新たに配備すると発表した。今回の対応は、カナダ政府が先に発表したカナダ沿岸部を保護する計画の一環。

 曳航船は沿岸警備隊が巨大な商業用船舶をけん引する時に使用されるという。トルドー首相は「(この2艘は)大きな制御不能となった船舶をBC州の素晴らしい海岸線から引き離し、守るために活躍するだろう」との声明を発表した。

 2016年11月にキンダーモーガン社のトランスマウンテン・パイプライン拡張計画の承認を発表して以降、トルドー首相がバンクーバーを訪問するのはこれが初めて。アルバータ州からBC州南西部バーナビー市までオイルサンドを輸送する既存のパイプラインから輸送量約3倍にするためにパイプラインを拡張する計画は、完成すれば1日当たり89万5千バレルのオイルサンドが輸送可能となる。そこからタンカーでアジア市場へと輸出することがカナダ政府の計画。アメリカ以外の輸出先を開拓し、豊富な天然資源でカナダ経済を支えていく必要があると主張している。

 しかしこの計画に対しては当初から反対が強く、環境活動家、先住民族、パイプラインの近隣住民、さらにはバンクーバー市、バーナビー市など周辺市町も強く反対。バンクーバー市・バーナビー市やいくつかの先住民族などはすでに裁判所へ環境への影響などを理由に計画中止を訴えている。

 カナダ政府は列車でオイルサンドを運ぶよりはパイプラインの方が安全で、オイル漏れ対策など環境対策は十分に整えることを条件としていると主張している。

 トルドー首相はバンクーバー・サン紙のインタビューに答え、BC州でトランスマウンテン・パイプライン拡張計画反対が多いことについて、政府の決定に反対したり、その意思を合法的に表現することは歓迎すると語り、そうして賛否両論を表現することが民主主義の基本だとの考えを示した。

 

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