2016年10月20日 第43号

 ブリティッシュ・コロンビア州ビクトリアの中心部で、今月初めに採取したキノコを食べた3歳の男児が、約10日後にその中毒が原因で死亡した。

 家族と一緒にキノコ狩りをした男児が食べたのは、猛毒のタマゴテングタケ(death cap mushrooms、学名Amanita phalloides)。

 同地区を管轄するアイランド保健局は11日、同様の事故が再発しないよう、キノコ狩りの際には慎重に種類の特定をするよう、メディアを通じて注意を促すコメントを発表した。

 家族の話によると、男児はキノコを食べた後8時間から12時間ほどで激しい胃痛と嘔吐に見舞われた。その3〜5日後にはキノコの毒素が肝臓の細胞を破壊したことによる劇症肝炎様症状を引き起こし、肝不全に陥った。

 当初ビクトリア病院の集中治療室で治療を受けた男児はその後、さらなる治療のためにアルバータ州エドモントンの病院に搬送されたが、12日夜に息を引き取った。

 メディアの取材を受けたアイランド保健局の主任医師リチャード・スタンウィックさんは、家族からの報告を受けた後、キノコを専門とする菌学者とともに9日、採取現場を訪れ、ここで他の人がまたキノコを採取することがないよう、見つけられる限りのキノコを採取した。その数はタマゴテングタケを含む16本で、スタンウィックさんによると12人分の致死量になるという。

 タマゴテングタケは緑(オリーブ)色の傘に白い柄で、また、柄にはつば(柄のまわりを一周する、ケープ状の薄膜)があり、見た目は一般的なキノコの形をしている。なお、つぼ(柄の下、地中部分)は大きく丸く膨らんでいる。1本で成人1人を死に至らしめるだけの毒を持つ、猛毒キノコとして昔から知られている。

 タマゴテングタケは、食用キノコとして一般的なフクロタケ(paddy straw mushroom)が成長して、傘が開いた状態によく似ている。フクロタケは全体が白っぽく、柄は黄味がかっているが、やはり丸く膨らんだつぼを持っている。

 死亡した男児の家族はスタンウィックさんらに対し、悲劇が繰り返されないよう、今回の教訓を市民の啓蒙に役立ててほしいと申し出ていた。

 

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