2016年10月13日 第42号

 ユーコン準州のホワイトホースから2日朝、90キロメートルほど離れた湖でのボート猟に出かけた3人組。しかし湖畔で装備を満載したボートを失い、救難隊が来るまでの4日間を、ほとんどの道具なしで過ごすこととなった。

 3人は獲物を探すために湖畔に上陸したものの、折からの風がボートを湖面に押し戻してしまった。波がボートをどんどん沖に運んでいってしまったため、彼らにできたことは、岸からそのボートが波にひっくり返される様子を見守ることだけだった。

 彼らの手元に残ったのは、着ていた衣類といくつかのライター、ナイフと双眼鏡だけ。何の連絡手段もなかった。しかしアウトドア経験豊富な3人組は、すぐさま救難隊を待つ準備にとりかかった。

 家族には4日の夜には帰宅すると伝えてあったので、捜索が開始されるまで、少なくともあと3日は待たなければならないことは明白だった。

 まだ青い葉のついている針葉樹の枝を何本も折り、重ねて風雨をしのぐシェルターを作った後、2カ所で火を起こした。ひとつは暖をとるため、もうひとつは捜索隊への信号用として。さらにひとりが着ていた赤いフローティング・スーツをほどいて一枚の布状に広げ、湖岸の開けた場所に目印として置いた。ただ、食料はあたりに自生していたローズヒップの実と、湖の水だけだった。

 家族が警察に捜索願を出したのは、帰宅予定の翌日の5日のことだった。3人組が家族に伝えていた行き先から、警察は可能性の高い場所2カ所を捜索、間もなく彼らの車を発見。ここからはヘリコプターによる捜索が行われ、同日午後6時ごろには3人を発見した。

 3人は空腹だったこと以外は健康上問題なかったという。警察は3人が無闇に歩き回ったりせず、遭難時のセオリーーシェルター、暖、目印の確保ーを確実に行ったことを高く評価していた。

 

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