2016年10月13日 第42号
サンクスギビング・デーの10日、ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーの慈善団体が、3000食の七面鳥をホームレスなどのために用意した。
これは、ユニオン・ゴスペル・ミッションが毎年行っているもので、今年はバンクーバー・イーストサイド2カ所と、ニューウェストミンスターの1カ所で、合計300人以上のボランティアによって行われた。
強力な麻薬フェンタニルやその他の薬物の過剰摂取などの薬物事故の急増、ホームレス人口の増加、賃貸物件の家賃高騰と空室率の低下など、支援を必要としている人を取り巻く環境は年々悪化していると、同団体は取材に語っている。
そのことを裏付けるかのように、同団体を訪れる人も増えつづけているという。同団体が運営する75床の簡易宿泊所は8月29日より満室が続いており、これまでに25人を断らなければならなかった。
同団体の公報を務めるジェレミー・ハンカさんは、先週断った1人の青年のことを取材に語っている。彼はフルタイムの仕事を持ち、心身ともに健康で麻薬の使用歴もなかったが、それまで住んでいるところを出ざるをえなくなり、同団体を訪ねたという。「時給12ドルの仕事を続けているのに、住める場所がない町というのは、一体どうなっているのか」と危機感をにじませていた。
こうした逆風が吹く中だからこそ、そうした人々に差し伸べられた手があることを知ってもらうためにも今回のイベントには力を入れたとハンカさんは語っていた。
同団体ではこの日のために1週間前から準備を進めてきた。調理した七面鳥は1100キログラム、ジャガイモは360キログラム。また用意したクランベリーソースは260リットルになった。
同団体代表のビル・モラードさんは、このイベント自身よりも、その後の展開を心待ちにしていると、取材に語っている。食事のためにここを訪れ、団体の活動を知った何人もの人が中毒や住居、就職といった問題の相談のために、ここを再訪するのを待っているのだ。多くの人が逆境から立ち上がり、新しい希望に向かって歩んでいくのをここで目の当たりにしてきたという。