2016年10月13日 第42号

 自由党政権の議案が5日、国会で可決され、カナダが正式にパリ協定を批准することが決まった。

 同日の国会で、パリ協定承認の是非を採択。自由党、新民主党(NDP)、ケベック連合党が賛成し、207対81の大差で可決された。保守党は反対に回った。

 昨年12月にフランスのパリで開催された国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で採択された新たな法的枠組みとなる「パリ協定」は、署名した196カ国が各国での批准手続きを経て発効される。発効条件は、批准国55カ国以上で、その国々の地球温暖化ガス総排出量が55パーセントに達すること。国連は5日、協定の発効条件が満たされたと発表し、30日後の11月4日に発効することが決まった。

 同日に批准となったカナダの削減目標は、2030年までに2005年比で温室効果ガス排出量を30パーセント削減するというもの。これは昨年、保守党政権が決定し国連に提出した目標だが、自由党は政権交代後約40日でCOP21が開催されたため、保守党の削減目標を「最低限」の目標として引き継いだ。しかし環境省は、この目標ですら達成は厳しいと報告している。

 目標達成のため、政府は3日、二酸化炭素排出に課税を義務付ける政策を国会で発表した。ジャスティン・トルドー首相は、2018年から1トンにつき10ドル、毎年10ドル引き上げ、2022年に50ドルとする案を発表。10州3準州一律で実施、炭素税、もしくはキャップ&トレード制度を選択できるとしている。炭素税はブリティッシュ・コロンビア州とアルバータ州で、キャップ&トレード制度はオンタリオ州とケベック州ですでに導入されている。その他の州では2018年までに導入されない場合、連邦政府が導入を決定すると厳しい姿勢を示している。

 これには3州が反対し、特にサスカチワン州政府は提訴も辞さないとの構えを見せている。

 パリ協定は京都議定書に続く国際的な枠組みで、発効後は法的拘束力を持つ。アメリカや中国など、温室効果ガス大量排出国もすでに批准している。

 

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