2016年9月22日 第39号

 1949年に中華人民共和国を建国した、中国共産党の毛沢東主席の没後40周年を記念するコンサートが、今月初めにブリティッシュ・コロンビア州リッチモンドで開催された。主催はカナダ華峰アーティスト協会(Canada Huafeng Artists Association)。

 このコンサートの一曲目は、毛沢東や中国共産党を礼賛する、文化大革命の時期には事実上の国歌だった「東方紅(The East is Red)」。

 しかし、このようなイベントは中国国内でも聞いたことがなく、ましてや中華系カナダ人が行うのは全く奇異だと語るのは、中華系移民で組織される「カナダの価値を守る同盟(Alliance of the Guard of Canadian Values)」のリーダー、ルイス・ホワンさん。同様のイベントはオーストラリアのシドニーとメルボルンでも企画されたが、地元の中華系コミュニティの反発にあい中止に追い込まれたという。

 ホワンさんのグループは、カナダの中華系コミュニティに対しカナダの価値観を広めたり定着させたりする活動を行っている。

 ホワンさんは、毛沢東政権下ではおよそ8千万人の中国国民が粛清や迫害から死に追いやられたと説明、人類の中で最悪の独裁者だったと語る。その上で、毛沢東思想はカナダの価値観とは全く相容れないものであり、どのような形であれ、そうした人物を礼賛するイベントは不適切だと非難する。

 ホワンさんの祖母も、毛沢東時代に強制労働キャンプに送られた経験を持つ。「あの時代は恐ろしい話に満ちあふれている」と語るホワンさん。

 コンサート当日、ホワンさんは会場にいた主催者のツァオ・クワン・シさんとの面会を求めたが、かなわなかった。後日、メディアが当人にインタビューを電話で申し込んだところ、英語は話せないと答えたという。

 

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