2016年8月25日 第35号

 ブリティッシュ・コロンビア州クリスティ・クラーク州首相は19日、州の環境対策計画を発表。その中で注目されていた炭素税について、今回は引き上げを見送っていることを明らかにした。

 州政府が任命した専門家や先住民族、ビジネス関係者からなるBC州気候変動リーダーシップチームが昨年、州政府に提案した州の温室効果ガス排出量削減に必要な32項目の中に炭素税引き上げも含まれていた。

 炭素税は温室効果ガス排出量に対して課せられる税金で、2008年キャンベル・ゴードン前州首相時代に導入を実施。それから毎年課税額が引き上げられていた。しかし、2011年クラーク州首相政権になってからは2012年に1トン当たり30ドルになったのをきっかけに税額を凍結。環境活動家や専門家などからは批判が出ていた。

 そのため今回の環境対策プランで引き上げが盛り込まれることが期待されていたが、結局は見送ることになった。提案をしたチームの関係者は、前自由党政権が残した遺産を台無しにする決定と批判した。

 クラーク州首相は炭素税引き上げだけが環境対策ではないと説明し、州政府は、メタンガス削減、液化天然ガスによる排出量削減、森林再生、電気自動車普及推進、公共交通機関インフラ整備などの対策を中心に行っていくと語った。

 しかし専門家は、今回の発表は法制化もしていないし、違反した場合の罰金などもなく、抽象的すぎると批判。クラーク政権になってからBC州の温室効果ガス排出量は増加しており、例えこれらがうまく機能しても、ベストなケースとして2030年の排出量が今と同じというレベルで、今以上に改善されることはないと酷評した。

 

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