2016年8月18日 第34号
ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー島の西岸、太平洋を望むトフィーノの画家が、ソフィー・グレゴワール・トルドー首相夫人をモチーフとした油絵を描き、本人にプレゼントした。
トフィーノのジュエリーブティック兼アートギャラリーに所属する画家ディアナ・ランキンさんは、休暇中のトルドー首相夫妻が同店を訪れることを、その前日に知った。
同夫妻の大ファンであるランキンさん、店の壁の一角があいていることに気づき、一晩でトルドー首相夫人をモチーフにした絵を描き上げることを決意する。地元写真家が、浜辺でヨガ・ポーズを取る女性を写した作品からヒントを得て、チェスターマンズ・ビーチで片手を天高く掲げる「高貴な英雄」ポーズを取る首相夫人の絵を、ほとんど徹夜で仕上げた。そして絵のタイトルも「魂の覚醒」と決めた。
政治家の夫人として、常に公衆の視線を集める立場でありながら、本人が10代後半から患っていた過食症との闘いを公表するなど、トルドー首相夫人は「女性の英雄だ」と、彼女への親近感をランキンさんは語っていた。
しかし当日、トルドー首相夫妻が店に入ってきた時には、彼女は絵を当人にお披露目する決心がつかずにいた。
なんとか自分を奮い立たせて夫妻に絵を紹介しようと思った矢先、次の予定のために移動を促すセキュリティとともに、首相夫妻は足早に店を去ってしまった。
あっけない幕切れを迎えたその晩、ランキンさんはベッドで仰向けになり、夫妻がもう一度店を訪れる場面を思い描いていた。
まるでおとぎ話のような展開だが、首相夫人が絵のモデルになっていることに気が付いていたトルドー首相の関係者が、首相は昨日そのことを知っていたかどうかを確かめるために、再び店を訪れた。そして、首相夫妻が同店に姿を現したのは、それから5分とかからなかった。
二人は落ち着いて控えめな様子であったが、ランキンさんは畏敬の念を抱いた。絵を気に入った首相は、ランキンさんが永遠を象徴するとしてつけた値段、888ドルでこれを購入。また絵を掲げるトルドー首相の前で、夫人が絵と同じヨガ・ポーズを取り、記念写真に収まった。この写真は、自分の生涯で最も誇らしい一瞬をとらえたものだと、ランキンさんは取材に語っている。