第二次世界大戦中に沈没した商船と思われる残骸が、ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー島沖で発見された。 この船は、アメリカの商船コースト・トレーダー。1942年6月7日に、1250トンの新聞などの積荷を載せアメリカ・ワシントン州ポート・エンジェルスを出港した同船は、その40分後にオレゴン州北東端ケープ・フラッタリーの南西約56キロメートルの地点で爆発・沈没した。
乗組員のうち36人が救命ボートなどに乗り移り脱出、そのうちの何人かは重傷を負っていたという。また乗組員のうち3人が、脱出する際に潜水艦の潜望鏡を目撃したと証言したが、この時アメリカ海軍は、爆発の原因は旧日本帝国海軍の魚雷攻撃によるものではなく、エンジンボイラーの爆発によるものだと結論づけている。
しかしこれは、北米近海での敵の存在を知り、アメリカ国民が動揺することを避けるための工作だった可能性が高いと、BC州のバンクーバー海洋博物館のエグゼクティブ・ディレクター、ケン・バートンさんは取材に説明している。
実際、戦後に連合国が発見した旧日本帝国海軍の資料の中に、同軍のイ―26潜水艦がこの日、コースト・トレーダーが沈没した付近で未確認の商船に魚雷攻撃をしかけ、撃沈したとの報告があることがわかっている。
コースト・トレーダーが沈没した正確な位置は昨年までは把握されていなかった。ところが昨年夏、カナダ水路測量局が、この海域の水面から138メートル下の海底で発見した原形を保ったままの船の残骸が、この船ではないかと指摘されていた。
もしこれが確認されると、北米西海岸での第二次大戦に関する今までの記述を塗り替える発見になると、バートンさん。今までの通説では、この事件はアメリカの領海に侵入していた旧日本海軍の潜水艦が、アメリカの商船を攻撃したものだとみなされていたが、実は潜水艦はカナダ領海内から魚雷を発射していたことになると、彼は説明する。
当時のカナダ領海内を敵国の潜水艦が自由に徘徊していたことを誰も知らなかったとしたら、カナダ人にとって想像以上に危険な状態だったことになると、バートンさんは付け加えている。
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