ブリティッシュ・コロンビア州クリスティ・クラーク州首相は25日、メトロバンクーバーの住宅問題を解消するための州政府の原則をユーチューブを使って直接州民に訴えた。
約2分間のビデオの中では、住宅初購入者への支援、住宅供給量の増加、公共交通機関の充実、消費者の保護など州民の「夢のマイホーム」を実現するための6つの原則を掲げた。その実現のための具体的な計画は後日発表するという。
しかし、この中には問題となっている海外からの投資への対策は含まれていなかったことに専門家や野党からは批判の声が上がっている。
メトロバンクーバーの住宅価格はバンクーバー市をはじめ、近年急激に上昇。一戸建て住宅については、すでに一般州民が手を出せない状況にまでなっている。
その急激な住宅価格上昇の一因とされているのが海外からの投資。ジャスティン・トルドー首相も今月バンクーバーを訪問した時に、その事実について認める発言をし、対策を考慮することを約束した。クラーク州首相は、問題になった不当転売による価格つり上げについては対策を講じるとはしたものの、海外からの投資については調査するにとどまっている。
BC州野党新民主党(NDP)デイビッド・エビー議員は、「住宅供給を増加すると言っているが、すでにメトロバンクーバーの住宅着工数は記録的な数になっている。それでも住宅問題は解消していない」と批判し、海外投資をどう制御するかが問題だと語った。
22日にはバンクーバー市グレゴール・ロバートソン市長が記者会見を開き、これまで主張してきた非居住物件への課税について、州政府の協力が得られなければ市独自で実施する方法を取ると公言した。バンクーバー市には所有者がいながら居住者がいない非居住物件が約1万1000戸存在しているとし、8月1日までに州政府の返事がなければ、市議会で課税方法を検討するとしている。そうすることで、投資目的で購入された遊んでいる物件を同市で不足している賃貸物件へと移行させることを狙いとしている。
非居住物件に課税する方法は専門家にはおおむね賛同を得ている方法で、州政府は早い段階で市に返事をすると発表している。バンクーバー市では一戸建て住宅の90パーセントが100万ドルを超えるとして、10年前の19パーセントから急激に住宅価格が上がっていることに警鐘を鳴らし続けている。
住宅問題解消の一環として、26日には連邦政府の1500万ドルの支援が発表された。連邦政府ジャンイヴ・デュクロ家庭・子供・社会開発相と共にバンクーバー市ダウンタウン・イーストサイドで記者会見したBC州リッチ・コールマン住宅担当相は、「コミュニティと協力しながら州の中での住宅需要を見極め、支援していきたい」と語った。
252万ドルがシニアのための住宅建設と改修に、109万ドルが暴力被害者家族のための住宅建設やシェルター改修に充てられる。その他、ソーシャルハウジングの改修や省エネのための工事などが予定されている。
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