ケベック州のポワン・オー・トレンブルの自宅の裏庭で8日、闘犬として品種改良されたピットブルにかみ殺されたとされるクリスチアン・バドネさん(55歳)。現在死因を確認する検視が行われているが、彼女の家族は同じような悲劇が繰り返されないよう、ケベック州全体でのピットブルの飼育禁止を訴えている。

 クリスチアンさんの兄弟のサージさんとガストンさんは、彼女は活力に満ち笑顔を絶やさない女性だったと形容している。彼らがクリスチアンさんを最後に見かけたのは、事件が起こる1週間ほど前のファミリー・ピクニックだった。

 また彼女はモントリオール市の交通局に長年勤めており、局内でも同僚から慕われる存在だった。

 今回の事件を受けサージさんは、2年と言わず今すぐ、州政府にピットブルを禁止する条例を施行するよう働きかけていくとコメントしている。また彼は、オンタリオ州ではすでに2005年からピットブルの飼育が禁止されていることを引き合いに出している。

 ケベック州政府は9日、この事件を調査するワークグループを結成すると発表。同州のマーティン・コワトー公共安全大臣は、必要ならば犬の飼育に関する法律の改変など全ての選択肢を検討するとしている。またその中には、ピットブルの禁止も含まれるとしている。

 さらに、2018年をめどに、いわゆる「獰猛犬」に関する法整備を行うと、先月発表したばかりだったモントリオール市はこの流れを受け、デニス・コディーレ市長が18日、ピットブルなど危険と判断された犬種の飼育を禁止する法案を、9月にも議会に提出すると発表した。法案では、すでに飼育されている犬は継続して飼えるが、不妊化処置と外出時の口輪を義務付けている。

 ちなみに、今回の事件を起こしたピットブルが人を襲ったのは今回が初めてではなかった。犬の所有者がコンビニで買い物を済ませる間、店の前の柱につながれていたこの犬が見ず知らずの通行人を襲っている。また飼い主の家を訪れたいとこを侵入者とみなし、襲いかかった。

 またブリティッシュ・コロンビア州リッチモンドでも5日、友人宅を訪問した女性に、この家の15カ月になるピットブルが顔に噛みついている。この家の母親は、犬は全くの偶然に噛んだだけと取材に語っているが、これに対し警察は、顔を噛み裂かれた女性の衣服が血だらけになっている画像を公表、女性は緊急手術が必要だった事実を明らかにしている。

 この犬も以前、この家のオーナーを襲う事件を起こし市から飼育上の注意と安楽死への同意を促されていた。

 

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