フィリピンで犯罪集団に拘束されていたカナダ人ロバート・ホールさん(66)が殺害されたことが13日分かった。フィリピン当局が確認した。同日ジャスティン・トルドー首相も記者会見でホールさんの死亡を発表。哀悼の意を表すとともに、ホールさん家族の気丈な振る舞いを称賛した。また、非道な犯罪グループの行為を強く非難し、「フィリピン政府や同盟国と共に今回の犯罪行為に対して断固として立ち向かい、どれだけ時間がかかっても処罰することを約束する」と語った。
ホールさんは昨年9月フィリピン滞在中に、カナダ人ジョン・リスデルさん(68)とフィリピン人女性、ノルウェー人男性と共にアルカイダ系犯罪集団アブ・サヤフに拘束された。同集団はリスデルさんの釈放と引き換えに多額の身代金をカナダ政府に要求したが、期日を過ぎても支払われなかったため、今年4月リスデルさんを殺害している。
今回もホールさん釈放に800万ドルの身代金を今月13日までに支払うよう要求していたが、カナダ政府が支払いを拒否したため殺害されたとみられている。
カナダ政府はテロリスト集団や犯罪グループによる身代金要求には断固として応じない姿勢を示している。今年5月に日本の伊勢志摩で開催されたG7(主要7カ国首脳会議)でも議案として取り上げ、身代金要求に応じないことで参加国の同意を得ている。トルドー首相は、身代金要求に応じることで「誇りを持ってメープルリーフを身に着けている海外にいる300万人のカナダ国民が(人質の)標的になることは避けなければならない」と語った。ステファン・ディオン外務相もテロリスト集団の資金源となるような要求には応じられない、次の犠牲者を生むだけとの見解を示した。
ホールさん家族は、14日声明を発表。「カナダ政府と国際組織がロバート救出のために全力を尽くしてくれた」と語り、結果的には救い出せなかったがカナダ政府の身代金要求拒否という方針は全面的に支持するとしている。
フィリピンのベニグノ・アキノ大統領も哀悼の意を表すとともに犯罪集団を強く非難する声明を発表した。
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