カナダ交通省は20日、水上飛行機の全ての乗員と乗客は機内にいる間、膨張式救命胴衣の着用を義務付ける提言を行った。これは、2009年11月にブリティッシュ・コロンビア州で起きた水上飛行機の事故で乗客乗員8人中6人が死亡した事故や、2012年にオンタリオ州北部のリラベル湖で同型機が墜落し2人が死亡した事故の調査報告に基づいたもの。

 BC州の事故は、同州ガルフ・アイランドのひとつサターナ島のライオール湾でデ・ハビランド・カナダ社製の水上飛行機ビーバーが離陸直後に失速、墜落し水没したもの。パイロットと女性の乗客1人は沈む飛行機から脱出できたが、乳児1人を含む6人が機内に閉じ込められ、命を落とした。

 また同提言では、水没した機体からの脱出訓練をパイロットに義務付けるともしている。マルク・ガルノー交通大臣は、水上飛行機はカナダの地理的条件に適した観光手段のみならず、遠隔地に住む人々を結ぶ重要な交通手段であることを強調。今回の提言により水上飛行機がより安全になるとともに、カナダは引き続き航空業界の安全性向上のイニシアチブを取っていくとコメントしている。

 先述の事故を調べた事故調査委員会が、交通省に対して出した勧告は次の2点だった。 「乗客全員への救命胴衣の着用を義務付ける」、「機体のドアと窓を、非常時には簡単に外れる構造にして乗客の脱出を容易にする」。

 1989年から2010年の間に、全国で109件の水上飛行機の墜落事故が起きており、76人が犠牲となっている。またBC州沿岸部では15人が死亡している。

 

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