カナダ銀行は9日、今月初めにアルバータ州北部で起きた山火事のカナダ経済への影響について、正確に試算するには時期尚早との考えを示した。5月25日の金利発表時にはもう少し詳細が分かると思うと中央銀行広報官。「その後の7月の金融政策報告書発表時には、さらにはっきりしているだろう」と語った。

 今回アルバータ州で起きた山火事は大規模というだけではなく、オイルサンド生産地ということもあり、オイルサンド産業の経営状況に直接的な影響を与えている。天然資源産業はカナダの主要産業であり、この地域のオイルサンド産業の操業停止はカナダ経済にも大きな影響を与える。

 専門家は、第2四半期の経済成長率を1パーセントから1・5パーセント下方修正し、5月だけでなく6月にも影響を残すとしている。ただ山火事は一過性の影響のため、落ち着いたあと再建が始まると第3四半期には損失分を取り戻すのではないかと予測している。そのため、カナダ銀行の金利政策にこの山火事が直接影響を与えることはないのではとみられている。

 同日に国際通貨基金(IMF)が発表した報告書では、原油価格安の影響からの回復が緩やかなままの場合は、中央銀行によるさらなる金利引き下げの用意も必要との見解を示された。カナダ経済は2014年の原油価格急落により大きな影響を受けている。すでに昨年は2回にわたり金利引き下げを実施、カナダ銀行は現在金利0・5パーセントを維持している。IMFはカナダ銀行が金利を引き下げるとしても、引き下げ幅は限定的としている。

 IMFは以前からカナダ経済の危険要因として、高騰する不動産市場を指摘していた。そのため連邦政府が実施した住宅ローンに関する規制は一定の効果があるとしながらも、相変わらず危険要因として注意が必要としている。

 

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