当時18カ月だった息子に必要な治療を施さず死亡させたとして、アルバータ州グレンウッドの夫婦に4月26日、有罪判決が下された。
有罪が言い渡されたのは、デビッド・スティーブン被告(32歳)とコレット・スティーブン被告(35歳)。スティーブン夫婦は2012年3月、容態が思わしくない息子のエゼキエルちゃんを2週間以上にわたり、自然療法だけで回復させようとした。しかしエゼキエルちゃんは髄膜炎を発症しており、これが原因で死亡した。
その11カ月後に訴追された夫婦は、裁判の過程でエゼキエルちゃんは単にかぜか咽頭炎にかかっていたものと思い込み、トウガラシやニンニク、タマネギのほかホースラディッシュ、リンゴ酢、水で薄めたメープルシロップなどの自然療法で治療を試みていたと証言している。
また、友人の看護師からエゼキエルちゃんは髄膜炎の疑いがあると指摘されても病院には連れて行かず、かわりに同州レスブリッジにある自然医療のクリニックまで呼吸器系疾患に効果があると言われている薬草エキナセア混合薬を車で購入しに行っただけだった。その時、エゼキエルちゃんの体は硬直してベビーシートに座ることができず、床に敷いたマットレスに寝かせて連れて行かざるを得なかったという陳述も法廷で述べられた。
検察は、夫婦が子供のことを愛していたことを認めながらも、国が定める医療基準に従っていなかったと主張。これに対し弁護側は、夫婦はエゼキエルちゃんの病状を的確に把握していなかっただけで、夫婦としての子供に対する責任は果たしていたと反論した。
この件を評議してきた女性8人、男性4人からなる陪審員は、夫婦は幼児の生命維持に必要な手段を提供しなかったとして、有罪を答申した。なお量刑については、6月に裁判所が決定する予定。
しかしこの判決に納得しないスティーブン被告は、自身のフェイスブックに「陪審員の皆様へ」と題した抗議文を掲載した。いわく、陪審員は検察の偏見と作為に満ちた陳述に惑わされたことに気がついてほしかった。また今回の答申は、今後は政府の定める親の義務に従わない者は誰であれ、刑事罰に処すことができる前例を作ってしまったと批判している。また彼はメディアの取材に対し、このような前例を許さないためにも、控訴を考えていると話している。
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