長距離バス会社グレイハウンドの夜行バスを利用していた未成年の少女2人が、乗車券の有効期限が切れたことを理由に、人里離れたガソリンスタンドに置き去りにされた。

 アルバータ州シルバン・レークに父親と住むチェルシー・カザコフさん(12歳)とジェシー・カザコフさん(16歳)は、春休みを利用してブリティッシュ・コロンビア州プリンス・ジョージに住む母親のバネッサ・オービションさんと過ごしていた。

 そのための往復乗車券は、オービションさんがプリンス・ジョージで購入していた。子供たちが学校の始まる1日前には父親の元へ帰れるよう、復路の日付を3日に指定しておいた。仕事の都合で見送りに行けなかったオービションさんの代わりに、家族と交流のあったブレント・ワルコウスキーさんが日曜日の夜に子供たちをバスターミナルまで送り、2人の乗り込んだバスが出発するのを見届けた。時間は深夜を5分過ぎたところだった。

 子供たちは途中のBC州ベールマウントの停留所(ガソリンスタンド)でバスを乗り換える必要があった。彼らは午前3時35分、このバスに乗り込んだ。

 オービションさんによると2本目のバスの運転手は、娘たちの持っていた乗車券は有効期限が切れており、またこのバスはすでに予約で満席になっていて2人を乗せることはできない、次の昼間のバスまで待てば、その日の夜中には家に帰り着けるだろうと言い残して、出発してしまった。

 なおこの町は、未解決の女性殺人事件や行方不明事件が多発していることで有名な、通称「涙の高速道路」高速16号線から南へ20キロメートルほどしか離れていない。

 そんな場所に置き去りにされた長女からの電話を受け取ったオービションさんは車の運転ができなかったため、なんとかワルコフスキーさんともう1人の友人に連絡を取り、現場に向かってもらうようにした。

 プリンス・ジョージから真夜中の道を約3時間かけ、彼らがベールマウントに到着した頃にはすでに夜が明けていた。心細そうにしていた少女らは、ワルコフスキーさんらが車から降りるやいなや駆け寄って抱きつき、離れようとしなかったという。

 メディアの取材に対してバス会社は、この件を重くみて事実関係を調査中だと答えている。また2人を置き去りにした運転手は、空席がないために乗車拒否したものの、次の昼間のバスの運転手に連絡を取り、そのバスに2人を乗せられるよう手配するなど、2人の置かれた状況を何とかしようと努力していたと説明している。

 また乗車券は日付と時間指定となっているため、旅行の日程を変更した場合は、同じルートでも乗車券を正しい日時のものに変更するよう、グレイハウンドは利用者に求めている。一方オービションさんは、乗車券の有効期限が切れているのだったら、最初のプリンス・ジョージで会社の係員が娘たちを乗車させないようすべきだったと指摘する。実際には乗車券の販売員も、乗車券を受け取ったプリンス・ジョージ発のバスの運転手も、誰も有効期限など気にしていなかったではないかと、オービションさんの怒りは止まらない。

 まだ若い娘たちに夜行バスを利用させることには、多少不安があったのは事実だとオービションさん。しかし娘たちに会いたいがために、最も安くてすむこの方法を選んだのだが、その結果がこれだと、彼女は落胆した表情で語っていた。

 

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