カナダの食品スーパーマーケット最大手のラブロウズは15日、食品メーカー、フレンチズのケチャップの取り扱いを中止するとした決定を取り下げ、販売を継続すると発表した。

 その理由は、ソーシャル・ネットワークなどで市民から大きな反対の声が上がったため。そもそもの発端は、オンタリオ州オリリアに住むブライアン・フェルナンデスさんが、自身のフェイスブックでフレンチズが同州レミントンの雇用とトマト農家を救った経緯を発信したことだった。

 「カナダのトマト首都」を自負するレミントンには、2年前までケチャップメーカー大手のハインツが工場を操業していた。しかし工場閉鎖を決定した同社は従業員740人を解雇、トマトを供給していた地元農家をはじめとする地元産業にも大きな衝撃が走った。

 しかし工場は投資家などによって規模を縮小しながらも操業を再開。昨年からはフレンチズが同工場のトマト・ペーストを買い取りアメリカでケチャップに加工、カナダに出荷するようになった。このいきさつを、好意をもって2月にフェイスブックに書きつづったフェルナンデスさんのサイトは、これまでに13万回以上もシェアされている。

 さらにこの動きは一般消費者にとどまらず、トロントのレークビュー・レストランのように業界の中にも広がっている。同レストランがことしからフレンチズのケチャップに切り替えたのは、手ごろな価格であることもあるが、やはり地元の原料を使っていることが決め手だったと、同レストランは取材に答えている。 

  一方メディアは、フレンチズのケチャップ売り上げ増こそが、ラブロウズがその取り扱いを中止する理由だと、同社従業員に説明している内部メモを入手したと報道している。ラブロウズは自社ブランドでもケチャップを販売しているが、その売り上げ減の理由がフレンチズのケチャップだと主張していた。

 

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