オンタリオ州セント・キャサリンに住むレイモンド・コロチャックさんは2014年3月、メキシコ旅行から帰国する際に、トロント国際空港で手荷物を押収されてしまった。

 その原因となったのは、クノールのチキンスープ『カルド・デ・ポジョ』の素。旅先で見つけたこのスープが気に入ったコロチャックさんは、申告することなく粉末スープを手荷物として持ち帰ろうとしたのだった。

 翌日、カナダ国境サービス庁から電話があり、粉末スープの持ち込みは検疫法(動物の加工品や肥料、また動物の加工品を含んだ製品などは国内への持ち込み禁止)に違反していると告げられた。

 またコロチャックさんには、400ドルの罰金を支払ってすぐに手荷物を引き取るか、異議申し立てを行うかの選択ができることも告げられた。ただし異議申し立てが棄却された場合は、倍の800ドルが科せられる。

 アメリカとの国境近くに住むコロチャックさんは、アメリカへ日用品の買い物にもよく出かけるが、何を買ってこようが国境で問題になったことはなかったと取材に語り、今回のケースは過剰対応であり、その場で警告を与えて粉末スープだけ没収すれば済んだ話だと憤慨している。

 何が持ち込み可能で何が不可能なのか、具体的な指針も明らかでない上に、単なる粉末スープが法律違反になるとは思えなかったコロチャックさん、カナダ国境サービス庁と公安・非常時対応準備省を相手取り異議申し立てを行うこととした。

 彼にとって不幸だったのは、再審理法廷の開廷日の通知が、彼が国外に3カ月滞在している間にセント・キャサリンの自宅に届いたこと。原告不在のままで開かれた法廷では、800ドルの罰金を科す判決が出されてしまった。ただし、この法律違反は刑事罰には当たらないとの判断もなされた。

 カナダ国境サービス庁によると、国内に持ち込む食品は全て申告する必要があり、申告漏れの品が見つかった場合は、該当品の押収と罰金が科せられる。これは国内の動植物に危害を及ぼす菌やウィルス、病気などを水際で防ぐためだと同庁は説明している。コロチャックさんは連邦控訴審へ上訴することにしている。

 

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