エドガー・ラテュリプさんがオンタリオ州キチナーの養護施設から行方不明になったのは、1986年のことだった。当時21歳だったラテュリプさんには知的障害があり、精神年齢は12歳程度だった。また過去に自殺未遂を起こしたこともあり、何がしかの事件に巻き込まれたのではないかと、母親は心配していた。

 ところが11日、その彼が別人としてキチナーから車で1時間半ほどの町セント・キャサリンズで暮らしていたことが確認、公表された。地元警察によると、30年前に施設を抜け出したラテュリプさんはナイアガラ・フォールズ行きのバスに乗車、途中のセント・キャサリンズで下車したらしい。

 その後転倒した際に頭を損傷したことから、自分の名前を含めほとんどの記憶を失い、全くの別人として30年間ひっそり暮らしてきたというのが、ことの真相らしい。

 そんな彼がことし1月に、ひょっとしたら自分の本当の名前はエドガー・ラテュリプかもしれないとソーシャルワーカーに告げたことから、警察が本人と面会。ラテュリプさんは次第に戻ってきた記憶を語り、さらにDNA鑑定の結果から本人であることが確認された。

 ラテュリプさん発見の知らせを警察から10日に聞かされた、同州オタワ在住の母親のシルビア・ウィルソンさんは、彼との再会の準備を進めているという。

 

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