フランスのパリで2週間におよび開催されていたCOP21(第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議)に出席していたキャサリン・マッケナ環境・気候変動相は、カナダの精神が反映されたパリ協定の採択に「興奮している」と語った。
法的拘束力を持つ2020年以降の地球温暖化対策の新たな国際枠組みである「パリ協定」は、各国に自主的な温室ガス削減目標の提出と5年ごとに目標実現への取り組みの点検を義務付け、世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べ2度未満に抑える目標を設定、気温上昇1・5度未満に抑えるという努力を続けることも併記した。また途上国に対する資金援助についても盛り込まれた。
今回の決定についてジャスティン・トルドー首相は、「我々はこれから気候変動に強い経済へと移行し、公共交通機関、グリーンインフラ、クリーンテクノロジーに投資し、雇用を創出し、コミュニティを支援していく」と声明を発表した。また、90日以内にカナダの排出量削減目標を決めるために、州首相と話し合いの場を持つとも発表した。
カナダは保守党前政権のもとでは環境問題についてほとんど対策が取られてこなかった。アルバータ州を基盤とする保守党が、同州経済、さらにはカナダの経済を担う天然資源産業への影響を極力少なくしようと努めていたためで、国内外から批判が相次いでいた。
しかし、10月の総選挙で政権が交代。自由党は環境問題にも力を入れていくと宣言し、カナダへの期待が国民からも海外からも一気に高まった。
カナダは、排出量自体は世界の全排出量の2パーセントと比較的少ないが、国民一人あたりにすると世界でも最も多い国の仲間入りをしてしまうとカナダ環境省が報告した。今後はどのようにカナダが温室効果ガスを削減するのか、その方法を示す必要がある。
自由党はCOP21に参加する前に独自の削減目標を掲げなかった。政権交代から約1カ月での会議参加に独自目標を作成する時間的余裕がなかったというのが実情だが、カナダが本気で環境問題に取り組む姿勢を見せるためには、今後は実行力が必要となってくる。