小雨がぱらつく中での開会式

フェスティバルの開場から2時間後、正午にビジターセンターの前で開会式が行われた。バンクーバー神輿の会、楽一による笛と太鼓のお囃子、テツ太鼓のメンバーによる太鼓の演奏で式が始まった。まず、バンデューセン植物園代表のハリー・ジョンガーデン氏が「このフェスティバルで日本の文化に触れるのと同時に、園内の美しい植物を楽しんでいただきたいです」と挨拶した。続いて、在バンクーバー日本国総領事岡田誠司氏が、2年前の東日本大震災後、カナダからも多大な援助を受けてきたことへの感謝を述べ、桜の木が日本とカナダの結びつきの強さを象徴しているようである、と述べた。

そして、バンクーバー桜祭りディレクターのリンダ・プール氏が「みんなで春を迎えるお祝いをしましょう」と会場を盛り上げた。また、ジャパンフェア実行委員長の塚本隆志氏が、200人近いボランティアがフェスティバルを支えていることと、開催場所を提供するバンデューセン植物園への謝辞を述べた。その後、スピーチをした4人によって鏡割りが行われた。式の最後には、楽一の皆さんによる獅子舞が披露された。お囃子にのって踊る獅子が集まった観客のすぐ側まで来てカタカタと歯を鳴らしたりしているのを見てみな楽しんでいる様子だった。

 

見どころ満載のフェスティバル

初日6日の午前中は雨模様だったが昼過ぎには晴れ間が見えるようになり、バンデューセン公園内には続々と人々が入ってきた。人種や年齢も様々なたくさんの人が公園内を歩きながら多彩な展示や食べ物のブースを訪れていた。ビジターセンター内では和風小物、アクセサリーなどの販売や指圧、その他の団体がテーブルを設置。訪れた人が興味深げに見入っていた。また、バンクーバー裏千家協会による茶道のコーナーでは、野点の形式でのお手前が披露されたあと、来場者にお茶とお菓子がふるまわれた。その後に続いて行われた日本酒のテイスティングも同様に多くの人をひきつけており、順番を待つ長い行列が出来ていた。  今泉慶子さんが主催する「ケイコアイフォトクラブ」のブースでは、日本の風景、桜、動物などのフォトカードが並べられていた。東日本大震災で被害を受けた南三陸町で津波の最高到達点に桜の並木を植えるというプロジェクトを支援しており、今回の収益金も苗木を購入するのに使われるという。

21歳で筋肉が萎縮していく病気にかかり、現在手と足を自分の意思で動かすことが出来ないという浦上秀樹さんは、3年前から始めた文字アートを展示。これらの文字はすべて口に筆をくわえて書かれている。「漢字にぴたりとはまるひらがなを考えつくと、嬉しくてすぐに書きたくなるんです」と浦上さんはいう。漢字の中に隠されたひらがなのメッセージを探し出すのも楽しい作品の数々に多くの人が関心を示していた。

屋外にはたこ焼き、お好み焼き、ラーメン、寿司、お弁当など日本の食べ物を販売するブースが多数あり、長蛇の列ができていた。バンクーバー島トフィーノの海岸に震災後流れついてきた瓦礫などの清掃活動をおこなうジャパン・ラブ・プロジェクトは焼きそばのブースを設置。売り上げの一部が来月の清掃活動費にあてられる他、宮城県気仙沼市や石巻市で活動する復興支援団体へ寄付されるという。

高台に設置された中央ステージでは太鼓演奏、日本舞踊、コーラスなど様々なパフォーマンスが行われた。また、キッズテントではこま、けん玉などを体験できるようになっていて家族連れで賑わっていた。浴衣の試着コーナーも大人気で、着付けてもらった浴衣姿で桜の木をバックに写真撮影を楽しむ姿が見られた。エクスペリエンス・ジャパン・テントというイベントコーナーでは、生け花、盆栽、書道のデモンストレーションが行われるなど日本文化を多方面から紹介している様子が伺えた。

 

(取材 大島多紀子)

 

Sakura Daysジャパンフェア

催団体:Japan Fair Association of Vancouver (JFAV)

共催団体:Vancouver Cherry Blossom Festival Society

後援:在バンクーバー日本国総領事館、バンデューセン植物園

サポート団体:バンクーバービジネス懇話会、企友会(バンクーバー日系ビジネス協会)、バンクーバー木曜会、日加商工会議所、日加協会、日系女性起業家協会(JWBA)

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これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。