日系コミュニティからは平野弥生さんの振り付けによるオリジナルで「バンクーバー音頭」が披露された。また今年は「楽一」神輿の会もバンクーバー音頭チームとジョイントで参加した。関係者によると、日系の参加者は両チーム合わせて約180人だった。

バンクーバー音頭をリードした平野弥生さんにインタビュー
バンクーバー音頭のリーダーである平野弥生さん(ヤヨイ・シアター・ムーブメント・ソサエティ)に、パレード開始前に話を聞いた。

—昨年は阿波踊りでしたが、今回はオリジナルの踊りだそうですね。どう違うのですか?
「パレードは常に前に進まねばならないので、それを意識した踊りにしました。また、体力を消耗するので、腕を上げっぱなしにするのではなく、上げたり下げたりする動きを取り入れました。BGMについても、園田容子さんに作曲していただいたオリジナルの曲を使って踊ります」

—何人くらい、参加しているのでしょう?
「踊るのは約80人ですが、運営スタッフも入れれば100人です」

—どんな人達が、参加しているのですか?
「最年少は10歳で、上は70代までです。学生、社会人など、いろいろな方が参加しています」

—工夫した点は、どんなところですか?
「浴衣を持参する方もたくさんいらっしゃるのですが、腰紐をお持ちでない方も多かったので、お手製で作りました。また、今回、チームの中に鶴の舞というものを取り入れましたが、その人たちの衣装も自分たちでデザインして作りました。それと、数名の女性の頭にかぶる赤い布も小原木踊りで使うものを取り入れました」

—踊りを通じて、何を表現したいですか?
「元気です。日本の状況を見ているとあまり元気がないので、カナダから元気の風を送ることができればと思います」

日系チームのパレードの様子
日系チームは、56組中、50番目の位置である。バンクーバー神輿の会「楽一」が、元気の良い掛け声と共にスタートし、音頭チームの前を歩いた。水を勢いよく撒きながら、街を練り歩き、パレードを盛り上げた。
神輿の後に続いたバンクーバー音頭チームは、昨年同様、パンパシフィック日産リッチモンド・サレー社の車に先導された。各自が色とりどりの浴衣をまとい、音楽に合わせ踊りを披露した。沿道で、小さな子供や日本人以外の若者が、一緒に踊り始める場面も多く見られた。時間にして約40分の間、日系チームは疲れを見せることなく神輿を担いだり、軽やかに舞ったりし、多くの観衆を魅了した。

パレード全体の様子
カナダは、移民の国である。人々は世界のいろいろな所からカナダにやって来ているので、文化もさまざまだ。このため、パレードも、日系チーム以外のアジア系、アラブ系、ロシア系など多様であった。それぞれのチームが、さまざまな民族衣装に身を包み、エキゾチックな音楽とともにパフォーマンスを披露した。この他にも、ダンスチームのスタンレーパークなど、いろいろな団体が参加していた。沿道には、カナダ国旗を持つ観衆が詰め掛け、パレード参加者に大きく手を振るなどして、温かく見守っていた。

バンクーバー音頭に参加した人たちのコメント
「去年も参加しましたが、今年は去年以上に人が多いと思います」(鶴の舞を担当した男性)
「踊り自体に参加するのは今回が初めてです。鶴の舞は、自由に踊りました」(鶴の舞を担当した男性)
「今回初めて参加しました。知り合いに誘われたのがきっかけです」(バンクーバー在住5カ月・女性)
「浴衣を着て、ここ(練習場所)に来たのですが、来る途中に通りすがりのカナダ人の方達から『いいね』と声をかけられました。バンクーバー音頭のことは、通っている学校を通じて知りました」(バンクーバー在住9カ月・女性)
「思っていたより人が多くて、びっくりしました。やや疲れましたが、参加して良かったです」(バンクーバー在住3週間・女性)


(取材 熊坂香)

 

バンクーバー音頭作曲者:園田容子さんプロフィール
作・編曲・演奏(アコーディオン・ピアノ)。静岡県焼津市出身。1986年より音楽制作の仕事を開始し、演劇・コンサート・映像・CMなどの分野で幅広く活動中。幼児音楽教育の研究や楽曲の企画、老人介護施設でのコンサート等も行っている。茨城大学教育学部非常勤講師、早稲田大学エクステンション講師。

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