開会式および伊藤総領事のスピーチ

開会式の行われた7日は、快晴に加えて気温も高めであり、絶好の祭り日和であった。また、植物園内の桜はちょうど見ごろを迎えていた。
開会式はチェリーステージで行われ、伝統的な日本の祭りを連想させる笛と太鼓によるお囃子の演奏でスタートした。その後、5人がスピーチをした。まず、労働・市民サービス・オープンガバメント大臣のマーガレット・マクダーミド氏が1889年から続いているというBC州と日本の歴史に触れた。続いて、バンクーバー公園リクリエーション委員会のサラ・ブライス氏が挨拶をした。さらに、在バンクーバー日本国総領事館首席領事の篠田欣二氏が、昨年の東日本大震災後にカナダを含めたたくさんの国々から日本がさまざまな援助を受けたことや、援助への感謝の気持ちなどを伝えた。次に、バンクーバー桜祭りディレクターのリンダ・プール氏は、100人以上のボランティアがこのイベントをサポートしていることを述べた。そして、ジャパンフェア共同実行委員長の塚本隆志氏が、昨年のジャパンフェア直前に大震災が起きたことや、日本の被災地を援助するためにジャパンフェア全体で、昨年全ての利益を寄付した経緯などを述べた。3回目になるという今年のジャパンフェアを「一緒に楽しみましょう」と、締めくくった。
その後、スピーチをした5人による鏡割りが行われた。酒樽の蓋に小槌が打ち下ろされた瞬間、日本酒が勢いよく溢れ出た。続いて、お囃子にあわせて獅子舞が登場した。赤と黒の2つの獅子舞は、ステージ付近の聴衆の間を練り歩き、中にはおびえて泣く子供の姿もあった。そうした子供の様子に、会場のあちこちから温かい笑みがこぼれた。
ステージでいくつかのパフォーマンスが行われた後、正午ごろに在バンクーバー日本国総領事伊藤秀樹氏によるスピーチが行われた。伊藤総領事は、昨年の大震災以降の日本の様子や、3月下旬に来日したカナダのスティーブン・ハーパー首相と日本の野田佳彦首相との間で、首脳会談が行われたことなどについて述べた。また、ジャパンフェアでの催し物などに触れ、「この2日間を通じて、日本文化に浸ってほしい」と、締めくくった。

新しい試み

共同実行委員長の塚本隆志氏と湯本恵美子氏にお話を聞いたところ、昨年との違いは主に3つあるとのことだった。
1つ目はチルドレンズテントの設置だ。テント設置により、ファミリーフレンドリーな空間を目指したという。テント内には、領事館から借りたという日本の伝統的なおもちゃ(ビー玉、コマなど)や昔話の絵本が置かれた。また、折り紙教室や浴衣着付けコーナーも設置された。
2つ目は、エコフレンドリーなイベントとなるよう、ゴミの分別を心がけたことだ。バンクーバーが環境に配慮している都市であることや、昨年度のゴミの量を踏まえての試みだという。
3つ目は、植物園の新しいビジターセンターでの展示や展示販売だ。ベンダー数は、昨年の23店から今年は30店に増えた。また、フードコーナーも3カ所(ビジターセンター隣、チェリーステージ近く、フィリスベントールガーデン)に分かれて設置され、ベンダー数も8店から12店に増えた。「イベントを通じて、日本の文化を理解していただくと同時に、日系ビジネスへの関心も深めてもらいたいです」(塚本氏)とのことであった。

会場内の様子

『展示・展示販売ベンダー、フードコーナー、酒テイスティング』
展示・展示販売ベンダーのエリアは、たくさんの人でにぎわっていた。衣料、雑貨、指圧のデモンストレーションなど、今年も多種多様なベンダーが参加していた。その中の1つである老舗の金物卸「河長」は、在バンクーバー日本国総領事館の招聘で京都から参加したという。創業は、1751年。かんざしなど、取り扱う展示販売品の1つ1つが、職人による手作りだ。その繊細で洗練された品は、日本人のみならず、日本人以外の多くの人々の心も掴んでいた。
フードコーナーは、3カ所に分かれて設置された。いずれの店も、一日中混雑していた。たこ焼き、焼き鳥、ラーメン、ホットドッグ、和菓子などなど、さまざまな品揃えであった。あるカナダ人男性は、「お目当ての食べ物を買うのに1時間かかったよ。でも、日本食はおいしいからね」と、語った。
酒テイスティングは、今年も大盛況だった。会場周辺(ビジターセンター内)は、開始前から既に長蛇の列がみられ、開始から終了まで常に人で埋め尽くされていた。テイスティング用の日本酒は、地元の酒ベンダー2店と、愛知県から参加した日本純米酒普及協会により提供された。多くの来場者は、日本酒を試飲するだけでなく、関係者にたくさんの質問をしていた。日本酒への人気や関心の高さが伺えた。

『チェリーステージ、チルドレンズテントなど』
チェリーステージでは、日本語学校の生徒による踊りや、太鼓のパフォーマンス、傘踊り、琴の演奏などなど、終日素晴らしいパフォーマンスが披露された。ステージ付近には常にたくさんの聴衆が集まり、時にはパフォーマーと一緒に踊るという場面も見られた。
チルドレンズテントは、どの時間帯も家族連れで大混雑していた。ダルマ落とし、コマ、折り鶴、昔話の絵本、浴衣…と、たくさんのことが体験できるようになっていた。テント付近は、満面の笑みを浮かべて元気に遊ぶ子供たちでいっぱいであった。
この他にも、茶道、生け花など、日本の伝統文化に関する催し物や、アニメブースなど日本の現代文化に関するものもみられた。

実行委員会から

受付付近に設置されていた募金箱への寄付金は、会場内に設置されていた寄せ書きメッセージと共に福島大学の災害ボランティアセンターに送付される予定とのことだった。

いろいろなコメント

「今年は茶道のお手伝いもするので、とても楽しみです」(2年連続でボランティアに参加しているという女性)
「浴衣の着付けをするのは初めて。機会があったら、また着たいです」(香港出身というUBCの学生3人。浴衣着付けコーナー付近で、お互いに記念写真を撮影していた)
「(コマを回すのは)難しい。私のおじいちゃんは、上手にコマを回せるのだけれど」(チルドレンズテント内でコマに挑戦していた女の子)
「ダルマ落とし、紙風船、コマなどが、特に大人気ですね」(チルドレンズテント内でおもちゃを担当していたボランティア女性。多忙な様子だった)


(取材 熊坂香)

 

ジャパンフェア実行委員会

主団体:バンクーバービジネス懇話会
企友会(バンクーバー日系ビジネス協会)
バンクーバー木曜会
日加商工会議所

サポート団体:日加協会
日系女性企業家協会(JWBA)

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。