2018年11月29日 第48号

日加ヘルスケア協会(以下、日加ヘルス)が主催するクリスマス懇親会が、11月22日、ブリティッシュ・コロンビア州バーナビー市の日系文化センター・博物館で開催された。参加者はおいしい食事を囲みながら歓談したほか、カナダや日本で医療に従事する医師やナースプラクティショナーが、健康促進や病気予防などの質問に答える「健康パネル」も行われた。
(メディアスポンサー:バンクーバー新報)

 

美しく飾られたアペタイザーには誰もが感嘆の声をあげていた

 

一足早いクリスマス気分

 雨が時折激しく降るバンクーバーならではの晩秋の一日、日系センターの松の間ではにぎやかな集まりが催された。参加者は約40人、申し込み時にはキャンセル待ちの人も出るほどだったという。食事のテーブルには、日加ヘルスが用意した食事のほか、参加者が持ち寄った各種デザートが並べられた。さらに、美しく飾り付けて盛られたアペタイザーも会員の1人がこの日のために用意した。

 日加ヘルスの活動のひとつとして、1月から10月まで座談会が開かれている。2018年の座談会皆勤賞として、福島誉子さんと下村淳朔さんに表彰状と記念品が贈られた。また田中医師、リステルホテル、日本語認知症サポート協会から寄付されたドアプライズがあり、ワイン、漫画、レストランの食事券といった賞品をラッキーな当選者が手にした。

 

ちょっとした疑問に答える「健康パネル」

 今回の懇親会の目玉は、日加ヘルスの会員である医療関係者が、一般的な健康、健康促進、ヘルスケアシステムについてなどの質問に答える「健康パネル」。パネラーとなったのは次の4人だ。ファミリードクターで日加ヘルスの理事長も務める田中朝絵医師。日本では産婦人科医であり、リタイア後に来加、現在は指圧師をしているという杉原義信氏。バンクーバー新報紙上でも、「ドクター杉原の医学アドバイス」を過去に連載しており、好評につき現在再掲載中だ。日本で産婦人科医として医療に従事した後に内科に転向、カナダに移住し、現在ファミリードクターを目指してトレーニング中の古久保ますみ氏。ナースプラクティショナー(NP)のスティーブン橋本氏。NPというのは、看護師と医師との間のようなポジションにあるという。必要な検査をオーダーしたり、処方箋を出すこともNPにはできるので、よりファミリードクターに近い職種ともいえる。

 参加者からは、帯状疱疹、骨粗しょう症と骨密度、胃がんやピロリ菌のこと、ビタミンやカルシウムなどサプリメントの話、高血圧についてなど、さまざまな質問が寄せられた。4人の医療プロフェッショナルが質問に答えるだけでなく、参加者からも意見が出たりして、全体的に活発な意見交換のようになった。「参考になる話が聞けて良かった」という参加者の声もあり、医療関係者が会員として参加している日加ヘルスならではといった「ためになる懇親会」となったようだ。

 

健康で楽しい生活を送るための手助けを

 日加ヘルスは2004年12月にBC州登録公益法人として設立され、2006年1月に非営利慈善団体となった。2016年には健康ハンドブックを出版した。これは、BC州の医療保険MSPへの加入の仕方や、ファミリードクターの探し方などの説明のほか、医療用語の辞書もついており会員だけでなく広い層に好評だった。

 会の最後に挨拶した田中医師が、「今年の夏に、日本の政府から外務大臣表彰をいただきました。私たちの活動をこうした形で認めていただいたのはとてもうれしいです」と述べた。日加ヘルスは全てボランティアで運営されており、特に理事の中心メンバーは自分たちの時間と労力を使って、活動の企画運営、会員への連絡などを行っている。会員の人たちに楽しいひと時を過ごしてもらい、それぞれが健康になる手助けをすることが、ボランティアとして従事する人たちにとって喜びとなっているという。

 日加ヘルスでは、1月から10月まで毎月1回の座談会を開催している。2018年には、免疫力アップの方法、チェアーヨガ、シニアのメンタルヘルス、生活習慣病などを防ぐ食事や調理法、オーガニックフードの育て方など、健康的な生活を送るためのヒントがたくさん得られる多彩な内容で行われた。また、「楽しく歩いて健康になろう」をモットーにした歩こう会という催しも月に1回開催している。これは公園などをみんなで散策し、その後はおいしい食事を楽しむというもの。歩くことで健康を維持する一助となるし、自分ではなかなか行く機会のない場所を発見できたりする楽しみもある。

 2019年の活動予定について、田中医師と理事の宮地昭彦さんに話を聞いた。今年と同様に、座談会や歩こう会を継続していく他に、カナダの医療システムについてのセミナー開催も考えているとのこと。今年、日系シニアズヘルスケア&住宅協会と共催した健康トークが2回開かれており、その第3回および4回目を来年開催することを予定している。また、2年前に出版された健康手帳には、昨年、今年と変更のあった部分などに対応してアップデートしているが、それは来年も継続していくとのことだ。さらに、「こういうトピックをセミナー等で取り上げてほしい」などといった希望を、日加ヘルスの会員から受け付けているという。

 日加ヘルスの年会費は個人30ドル、家族50ドル、学生とシニア25ドル、シニア家族は40ドル。入会の申し込みや問い合わせは、This email address is being protected from spambots. You need JavaScript enabled to view it.まで。

(取材 大島多紀子)

 

 

座談会皆勤賞に輝いた下村淳朔さん(左)と福島誉子さん

 

役に立つ話がたくさん聞けた「健康パネル」

 

左から、スティーブン橋本氏、田中朝絵医師、杉原義信氏、古久保ますみ氏

 

 

読者の皆様へ

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