2018年7月26日 第30号
7月21日、ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市スパニッシュ・バンクスビーチで、恒例の「第5回JTB地球いきいきプロジェクト」の一環として、海岸の清掃作業を実施した。参加者は、38名。全員が一丸となって、約3時間、さまざまなゴミを一つ一つ拾い集めた。
この一帯は、週5回、専門の清掃員がゴミ拾いを行っていて、一見、ゴミなど何にもないように見えたが、いざ、全員が拾い始めると、意外なほど見つかった。収集したゴミは、細かく分別して、それを種類別に集計し、バンクーバー市役所に報告するという。最後は全員集合の写真におさまり、達成感もひとしお。額の汗に潮風が心地よかった。
作業を終えて、全員集合の記念撮影。みんな達成感に満ちた顔
ビーチでは素足に近い状態で歩くことが多い
だから、見逃せないガラス片など
週5日間、専門の清掃員がゴミ拾いをしていて、スパニッシュ・バンクスビーチは、一見、クリーンに見える。もちろん、大きく目につく物はほとんどない。しかし、38名の参加者が丹念に探してみると、タバコの吸殻などの小さなものが流木のそばなどに多い。なかでも参加者が見逃さなかったのが、ガラスやプラスチックの破片。貝殻などに混じって潜んでいる。清掃開始前のミーティングであらかじめ「鋭利なものに注意するよう」聞いていたせいか、発見率が高かった。ビーチでは、素足に近い状態で遊んだりするので、危険極まりない。そんな思いをもって見れば、“チリも積もれば…”のように収穫あり。また、珍しい美しい貝殻や小石も発見。ちょっとした記念のおみやげもゲットした。
散歩中の市民の人に「サンキュウ!」の声掛けをもらい、さらに張り切る
ゴミ袋を持った集団を奇異に思ったのか、「何しているの?」と聞いてくる人も多かった。「ビーチのクリーンナップ」と答えると、「ありがとう。どこのボランティア集団ですか?」というような会話が始まり、やりがいを覚える。うれしい!地元の人とつながりができた感じだ。先日のロシア・ワールドカップで、試合後、日本のサポーターが応援席を掃除していたことが報じられたことも記憶に新しく、それと結び付けられた思いがした。誇らしく思えた。
このシーンを見て、以前、販売促進企画の仕事をしていた関係からか、「あ、これは使える」と強く感じた。たとえば、「JTB地球いきいきプロジェクトの一環で清掃作業をしていること」を示す“のぼり”やメッセージ入りの“Tシャツ”などを用意すれば、よいPRになるのではないだろうか。社会貢献を自らの行動で示しながら市民からの共感を得る絶好機だ。
仕事のなかでは感じられない爽快さ、仲間意識
JTBカナダ社の館澤利典社長自ら参加し、多国籍の社員、ファミリー参加もあり、にぎやかなメンバーとなった。日常の勤務では、セクションが違ったりで顔を合わせることも少なく、この日初めて言葉をかわすという人もいた。ビーチの風は爽やかで、地元の人からも応援も受け、気分が高揚しながら作業をするなか、おしゃべりも弾み、社員間のコミュニケーションも高まったようだ。なかにはこのプロジェクトの立ち上げの頃から参加している人もあり、昔話に花が咲いていた。「2年前のスタンレーパークでの外来植物の駆除作業に参加したとき、森のなかには雪が残り、さらに木立の間の木漏れ陽にキラキラと雪が舞う“ダイヤモンドダスト”の美しさは今でも忘れられない」と話していた。参加してこその感動だ。
ビーチの清掃というボランティア作業に、多国籍間の感情の違和感がある様子もなく、仲間意識も高まる約3時間であった。
「また、参加したい!」という声多く
砂に足を取られながらの約3時間は、休憩をはさんでいるとはいえ、さすがに疲れる。「日頃のデスクワークと違い、しんどいけど気分転換には最高!」という声も多く、今後も継続して実施する計画という。
バンクーバーの西側に連なる美しいビーチのひとつ、ここスパニッシュ・バンクスビーチは、海水浴や、ビーチバレーコート、バーベキューエリア、ドッグラン、売店、トイレ、シャワー施設、パーキングなどが完備されていて市民の格好の憩いの場。清掃作業とはいえ、空気を胸いっぱいに吸って楽しめるプロジェクト。「また、来たい!」の思いには共感できる。
世界各地に広がる「JTB地球いきいきプロジェクト」
このスパニッシュ・バンクスビーチの清掃作業は、「JTB地球いきいきプロジェクト」のバンクーバー版。JTBの顧客や地域の人、JTBグループの社員がいっしょになって観光地の清掃、植樹、環境美化などに参加し、「地域を元気に、人を笑顔にしたい」というJTBグループの社会環境活動(CRS)の一環。1985年にスタートして、フランス、オランダ、ベトナム、インドネシア、アメリカ、と世界各地に広がっている。カナダ・バンクーバーでは、今回が5回目。今回の夏のビーチの清掃作業に続き、秋には、市民の憩いの場であり観光客にも人気のスタンレーパークで、従来からの外来植物の駆除作業を継続する予定。いずれも自然環境を美しく保つためには、回数を重ねることが重要。とにかく根気のいる仕事。継続することで、「バンクーバー名物のボランティア活動」に育っていくことを望みたい。
参加者の笑顔や楽しそうな姿を見るにつけ、もっと広く知らせ、また、旅行者も加わり、新しい旅のかたちとしても広まることを願わずにはいられない。
(取材 笹川守)
出発前に、ゴミトングの使い方を確認
AM9:45集合し、サインナップ
4グループに別れ、ミーティング
さらに綿密な打ち合わせ
大笑いしていても真剣です
なれてくるとおもしろいゴミトング使い
お嬢さんの成長を確認しつつの共同作業
息ピッタリのペアでした
JTBカナダ社社長 館澤利典さんも奮闘中
見逃しませんよ。タバコのポイ捨てやめましょう
浅瀬のゴミも見逃さず
お父さんの株も上がったファミリーデーでした
今日は、母国語で思い切り楽しみました
分別作業もひと苦労。シティでは、ゴミの調査の意味もあるようだ
29種類に細かく分別し、集計してバンクーバー市役所へ提出