2018年4月5日 第14号

バンクーバーで2年に一度開催されるビジネスと環境を考える国際会議「GLOBE」が、3月14日から16日までカナダプレースのコンベンションセンターで開催された。世界約50カ国から、民間企業、政府機関、環境関連団体など約2千人が参加。環境対策をビジネスという視点から捉えたセミナーや展示会が数多く開かれた。

 

Pacific Coast CollaborativeでBC州ホーガン州首相(右から2番目)と共に西海岸州のトップ4人が意見を交わした。3月16日

 

「海」と「エネルギー」

 毎回テーマを持って開催されるGLOBE。2018年は「海」。地球の約70パーセントを占めるという海は、海洋生物の育みや海産物という食の面から我々に恵みを与えてくれているだけではなく、地球の環境にとっても大きな役割を果たしているという。

 それは地球上の酸素の約50パーセントを作り出し、二酸化炭素を吸収するという役割だ。その海がいま、世界で注目されている。国連でも重要課題として扱っている。

 カナダ、特にバンクーバーでは、トランスマウンテンパイプライン拡張工事計画を巡って、事故が起きた時の海の汚染を心配する声が大きくなっている。カナダ自由党政権は、運輸省が昨年11月に15億ドルの海洋保護プランを発表。GLOBEが開催される前日の3月13日にはバンクーバーでマルク・ガルノー運輸大臣が同プランの一環としてBC州北部沿岸の海中で雑音によるシャチへの影響を減少する対策に着手すると発表した。

 GLOBEでは、キャサリン・マッケナ環境・気候変動大臣、ジェームズ・カー天然資源大臣が参加し、海の保護とパイプライン建設を約束した。

 

オーシャンワイズ:プラスチック製品使用減少キャンペーン

 バンクーバー水族館が主導する海洋保護活動組織オーシャンワイズ。CEOはバンクーバー水族館館長ジョン・ナイチンゲール博士が務めている。活動内容は、海洋生物保護からブリティッシュ・コロンビア州沿岸の清掃、海洋問題に関する研究まで、さまざまな視点での海洋環境保護活動。その一環として、今回はいま世界で問題となっているマイクロプラスチックが抱える問題提起と解決策を提案した。

 GLOBE初日の14日に発表したのは、プラスチック製品の使用を減らす努力を促すBe Plastic Wiseキャンペーン。広い海の環境対策を実施するのは何も政府や大企業といった大きな組織ではなく、個人でもできることから始めようと促す。

 マイクロプラスチックとは、5ミリメートル以下に小さく砕けたプラスチックをいう。現在世界中の海に散らばっているとされる現象として国連でも取り上げるほどの問題となっている。

 マイクロプラスチックの要因は主に3つ。一つは何らかの原因で海に捨てられたプラスチック容器や製品などが長い年月をかけて細かく砕けたもの。

 2つ目は、マイクロビーズといわれる歯磨き粉や美容製品などのパーソナルケア製品に、研磨剤として含まれる微細なプラスチック粒子が海に流されたもの。

 3つ目はマイクロファイバーで、プラスチック製衣類を洗濯することによって、細かい繊維がほつれ洗濯水と共に海に流れ出たもの。

 どれも我々が普段の生活の中で使用するものばかりで、海の汚染は我々の生活習慣からも生まれていると警鐘を鳴らした。

 さらにマイクロプラスチックは海を汚染するだけではなく、我々の体にも直接影響するという。それは、海に存在するマイクロプラスチックを、動物性プランクトンがエサと間違って食べ、そのプランクトンを小魚が食べ、それを大きな魚が食べ、と海の食物連鎖に組み込まれ、その魚を我々が食べる。つまり自分たちが捨てたプラスチックを間接的に体内に入れていると説明した。

 そこでこの日発表されたのが#BePlasticWiseキャンペーン。オーシャンワイズのホームページにいくと、専用サイトが用意されている。キャンペーンに興味がある人は名前とメールアドレスを登録すると参加できる。ナイチンゲール博士は、「コーヒーショップでプラスチックカップを使用しなくなってかなり経つけどまだこうして元気に生きているし」と笑って、できることから始めてプラスチックを使用しないようにすると意識することが大切と語った。

#BePlasticWiseキャンペーンサイト
http://pledge.ocean.org/

オーシャンワイズサイト
https://ocean.org/

マイクロプラスチックに関する動画(オーシャンワイズより)
https://www.youtube.com/watch?v=RRM7OxUWXic

 

パイプラインと環境対策は一対政策
マッケナ環境相、カー天然資源相も出席

 バンクーバーではトランスマウンテンパイプライン拡張工事について反対デモが続いている中、GLOBEには前回に続き、キャサリン・マッケナ環境・気候変動大臣とジェームズ・カー天然資源大臣が出席した。

 それぞれが開いた記者会見の中で繰り返されたのは、パイプラインの建設はカナダがこれから環境問題に取り組む中で、経済を犠牲にすることなくクリーンエネルギー社会へとうまく「移行」していくためには、必要な政策という説明だった。

 記者会見の中でマッケナ環境大臣は、「パイプラインの承認は、カナダ・ナショナル・クライメート・プランの一環で、アルバータ州新民主党(NDP)政権に参加してもらうために必要な措置だった」と説明、「アルバータ州の参加はカナダにとって非常に重要」と述べた。できるだけ多くの関係者と一緒にカナダ全体の利益になるよう、環境問題に取り組みたいと思ってこれまでやってきたし、これからも努力していくと語り、カナダのサステイナブルな未来を実現するには時間がかかると語った。

 カー大臣はパイプラインについて「さまざまな関係者からの意見を聞いて、国として取り組む政策という結論を出した。雇用、経済、国際的な投資を引き寄せるためなどを考慮した。カナダは(サステイナブル社会への)移行に取り組んでいる時で、移行には時間がかかるし、資金も必要となる。現在カナダが持つ資源を利用して、低炭素社会の実現へと活かしていく取り組みをしている。このパイプラインはすでに60年間ここにあるし、このパイプラインの承認は我々にとっては道理にかなっていると判断した」と語った。反対派については「いろいろな意見があることは承知しているが、決定権があるのはカナダ政府であり、我々は承認という決定をした」とパイプラインが国の政策として完成すると断言した。

 

Low Carbon Economy Challenge

 マッケナ環境・気候変動はこの日、5億ドルのLow Carbon Economy Challengeプログラムを発表した。

 温室効果ガス排出量削減を実現するプロジェクトへの援助プログラムで、2分野に分かれている。

 一つは「チャンピオンズ」で、企業、政府機関、NPO団体、先住民族など規模に関係なく全ての組織を対象とする。約4億5千万ドル。もう一つは「パートナーシップス」で、先住民族、中小規模の民間企業、NPO団体、政府組織が対象。約5千万ドル。詳しくは環境・気候変動省のサイトを参照。

https://www.canada.ca/en/environment-climate-change/services/climate-change/low-carbon-economy-fund.html

 

GLOBEについて

 1990年からバンクーバーで2年に一度開催されているビジネスと環境を考える、北米では最大規模の環境会議。参加する分野や機関などを問わず、広く横断的にさまざまな分野の企業や政府機関、団体が参加することで知られている。

 毎回、約2千人が参加し、それぞれに環境とビジネスの共存について広い知識を紹介している。著名なスピーカーが参加することも多く、今回は、環境活動に尽力していることで知られるジョン・F・ケネディ元大統領の甥ロバート・F・ケネディJr.氏が参加して注目を集めた。

 また前回2016年には、政権をにぎった直後のジャスティン・トルドー首相が参加。この期間にバンクーバーでカナダ全国の州首相との会議を開き、パン・カナディアン・フレームワークを話し合った。

 スピーカーによるパネルディスカッションの他に、同時に開催されるのが環境エキスポ。今回のテーマはイノベーション。1階の会場にずらりと並んだ企業や政府のブースでは、商品やサービスの説明、商談などが行われた。今回日本からは日立ケミカルが出展した。

GLOBEサイト
https://www.globeseries.com/forum/

(取材 三島直美)

 

 

オーシャンワイズ記者会見でのナイチンゲール博士。3月14日

 

マッケナ環境相(右から2番目)とカー天然資源相(右端)。エキスポ会場で。3月15日

 

今回は電気自動車の試乗も。中にはトヨタの水素自動車「ミライ」もあった。3月16日

 

 

 

今週の主な紙面
7月12日号 第28号

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