3月23日、隣組で、バンクーバー市が推進しているNeighborhood Emergency Preparedness Program(NEPP)のワークショップが、同プログラムの講師・高橋ひろしさんを迎えて開催された。 自然災害などによる非常時に備えての日頃の心構えとは? 準備しておくべきものは? 役立つものは? 高橋さんの話の進行とともに、参加者たちの表情は真剣になっていった。
講師の高橋ひろしさん(右)は日系アイルランド・カナダ人。王由利さん(中央) と高科磨理子さん(左)が通訳を務めた
家庭での非常時対策、10のステップ
Step1
家庭・住居地区・職場に潜む危険を 日頃から確認しておく
地震、都市火災、廃棄物による火災、森林火災、停電、伝染病、列車の脱線、毒物の流出、異常気象、ガス漏れ、テロ、等。
Step2
家族の集合場所を決めておく
家族全員が集合場所を知っておく。災害時には、番地より、大きな木や通りのコーナーなどの方が分かりやすい。
①集合場所1…通りの向こう側というように、家から近い場所。
②集合場所2…徒歩圏内で、家から離れている場所。
Step3
外部との連絡先リストを作っておく
災害時には州内での電話がこむため、あらかじめ州外の家族や友人を連絡先と決めておく。家族全員がこの連絡先の名前・電話番号・携帯電話番号・メールアドレス等を知っておく。連絡先リストを電話のそばに貼っておく。リストのカードを作り財布の中に入れておくなどして常に携帯する。電話に登録しておく。
Step4
応急用具を揃えておく
非常時持ち出し用、自宅用、学校用、職場用、車両用、応急処置用。
①非常時持ち出し用…バッグ類は一人につき一つ。持ち運べるだけの量の必需品を入れ、普段はすぐに取り出せるところに置いておく。
②自宅用…災害時のさまざまな不便や難局を切り抜ける鍵となる。
・水、食べ物…消費期限の長いもの、エネルギー補給ができるものを蓄えておく。(Step 6参照)
・ラジオ、懐中電灯…ラジオ・懐中電灯・磁石・充電器など多機能が一つになったものもある。室内灯になるタイプもある。手でレバーを回し充電できるものや、太陽光を利用するタイプもある。購入の際には、他の応急用具と電池のサイズが揃うように選択をし、電池は同じサイズをまとめ買いしておく。
・めがね、筆記具、はさみ、粘着テープ…紙製の粘着テープは、その上に伝言を書いて貼っておけるので便利。
・衣類、下着、ソックス…セーターやジャケットなどの防寒用も必要。防水加工のものもよい。
・毛布、枕、寝袋やハンモック、歯磨きセット、トイレットペーパー、ビニール袋、等 ・災害時には、市が上下水道の設備やトイレ施設を早い時期に設営することを知っておく。
・Canadian Tire、The Home Depot、COSTCO、キャンプ用品の店や、インターネットを通して関連の用具が購入できる。
③学校用…子どもが通っている学校や保育園での非常時対策を知っておき、それに即した準備をしておく。
④職場用…Step 5参照。
⑤車両用…車の中で非常事態や災害に遭遇した場合に備えて、必需品や応急用品を入れておく。
⑥応急処置用…「災害中、911はつながりにくい」を認識しておき、ある程度は自力で処置できるよう備えておく。応急処置用品の使用方法を知っておく。1年に2回、時間変更時などに、中身のチェックを行う。First Aid Kitなどとして市販のものもあり、個人や家族が必要と思われるものを付け加えるとよい。
Step5
職場でも準備しておく
災害時の帰宅手段や、帰宅できない場合の退避場所を考えておく。職場に必需品を準備しておく。
Step6
水や食べ物を蓄えておく
①水…最低3日分 一人につき1日4リットル(飲料用に2リットル、調理や衛生用に2リットル)。家族の人数に合わせた量を蓄えておく。
②食べ物…最低3日分 冷蔵や調理が不要なもの。普段から食べ慣れているもの。のどが渇かないもの。家族の好物も備えておけば、非常時の気分が和む。定期的に消費期限を確認し、順次新しいものに取り換える。
・スープ・シチュー・ベークドビーンズ・パスタ・肉・魚・野菜・果物などの缶詰。
・クラッカーやビスケット。
・ハチミツ、ピーナッツバター、シロップ、ジャム、塩・胡椒、砂糖、インスタントのコーヒーや紅茶など。
③調理道具類
・ナイフ、フォーク、スプーン。
・使い捨てのコップや皿。
・手動の缶切り、栓抜き。
・プロパン等、燃料式のコンロと燃料(必ず製造元の説明書に従って使用。屋内でバーベキューなどしないこと)
・防水のマッチ。
Step7
家庭・家屋の安全を守るための準備や 対策をたてておく
・タンクに湯をためておく。
・重いものは下に置く。
・食器棚やたんすは留め金で固定する。
・台所・風呂・仕事部屋などのキャビネット類の掛け金が、激しい揺れに耐えうるかどうかを確認しておく。キャビネットの扉が開いても引き戻るタイプか、ハンドルを回すタイプの掛け金に替える。
・窓ガラスは、割れても破片が飛び散らない安全ガラスに替えるか、飛散防止フィルムを貼ることを検討する。
・ベッドは窓から離れた位置に置く。
・窓の近くにつり下げたランプや植物の鉢などは、フックの上の開いた部分をワイヤーなどで閉じる。フックは、ねじでしっかりと天井に取り付ける。
・煙探知機、火災報知器、消火器などを取り付ける。探知機・報知器類の電池は年2回(時間変更時などに)確認する。消火器は使い方を知っておく。
・家族全員が、ガス・水道・電気の元栓の場所を知っておく。元栓の閉め方も知っておく。
・ガス管や水道管がさびたり、詰まったりしていないかを確かめておく。
・火設備の見直し。
・壊れやすい容器に入った劇物・有毒物質・溶剤は、高い場所・危険な場所から、低い場所・通気性のある保管場所やキャビネットの後方へ移動する。非常時用の水や、子ども・ペットが届く距離から離れた場所に置く。
・家庭内での避難経路を把握しておく。
・煙突や屋根の瓦やレンガが浮いていないかを点検する。必要に応じて瓦を取り替える。煙突の周りの屋根を補強する。
・一軒家の場合は、家の土台がしっかりしているかを確認しておく。
Step8
助けが必要な人々への対応を検討しておく
・子ども、高齢者、病人、妊婦など、家庭内で手助けが必要な人を認識しておく。
・健康状態や服薬のメモを作っておき、応急用具などと一緒に入れておく。
Step9
ペットへの対応を検討しておく
・ペットごとに非常時持ち出し用品を準備する。餌、水、毛布、リードや口輪、おもちゃ、ペット用トイレ、ビニール袋、新聞紙、登録証明書、予防接種の記録、写真など。
・災害時に預かってもらえる施設を知っておく。
Step10
予行演習をする
・家族で定期的に火災時や地震時の予行演習を行う。
・最低でも1年に2回、対策や応急用品を確認する。
地震対策
● 日頃の心がけ
①家庭内の状況を知り、地震が起こっても家族の安全が守られるよう、必要な対策を練っておく。
②必需品を購入しておく。
③応急用具の使用が可能か、期限が切れていないかなど点検しておく。
④対策を家族で確認しあっておく。
● 地震が起きたら
まず、しゃがむ。そばに壁がある場合には、壁に向かってしゃがまない。壁を背にしてしゃがみ、目前で起こることを注意して見るようにする。
① 近くにある机の下などにもぐる。
② 頭、体を机などで守る。
③ 机の脚をつかむ。
● 地震がおさまったら
①ガスを止める。(再開には手続きが必要なため、ガスが漏れていなければ元栓を締める必要はない)
②家から離れる場合には、伝言を残すようにする。
③外部と連絡をとる。
④ラジオをつける。
■詳細情報
各市が非常時対策(Emergency Preparedness)のウェブサイトをもっているので参照する。
バンクーバー市の場合:www.vancouver.ca/nepp へアクセスするか、非常時対策局へメール(This email address is being protected from spambots. You need JavaScript enabled to view it.)、 または311へ電話する。
BC州危機管理局:www.embc.gov.bc.ca
(取材 高橋 百合)
キャリーケースに準備されている懐中電灯をはじめとする応急用品を紹介する高橋ひろしさん
地震が起きたら、しゃがんで、机の下などにもぐり、頭・身体を守り、机の脚をつかんでおく
非常時持ち出し用や自宅用の応急用品に関するパンフレット
ペットや車両用の応急a用品に関するパンフレット
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