CANADA日本武道振興会がピンクシャツ・デーに参加

 

2月25日、今や世界各地に広がっている「ピンクシャツ・デー」のファンドレージング・イベントが、バンクーバー市グランビル・ストリートのロンドンドラッグス周辺で実施された。このイベントに「CANADA日本武道振興会」も参加。空手、少林寺拳法、合気道、柔道、剣道、それぞれの道場生の子どもや父兄総勢31人の参加者が街頭に立って声をからし、理解を求めた。

 

 

日本武道振興会5人の発起人。(左から)合気道バンクーバー祥門会代表の清田勝さん、剣道練武道場子ども部の指導者・荒真紀子さん、糸東流空手道正晃会師範の佐藤義晃さん、BC州少林寺拳法代表・正師範の橋本政明さん、石川ファミリー柔道クラブ代表の泉孝雄さん

  

いじめ問題は、今や社会問題

 いじめ問題は、世界各地で報じられ、減少するどころか、年々増加している。いたずらの範疇を大きく越え、しかも、ネット社会を反映してか陰湿、深刻化するばかりの社会問題だ。いじめは、子ども社会ばかりではなく大人社会にもあり、「パワハラ」「セクハラ」、あるいは「差別」もその延長ではないだろうか。

 いじめは、する方が悪いに決まっているが、ある日突然、する方が、される側になったりする。仲良しグループの中の一人が、突然、標的になったりすることも。特に子ども社会でのいじめの原因は明確ではなく、効果的な対処の方法を見出せない場合が多い。もちろん、教育現場や、行政、父兄の間でもさまざまな取り組みがされているが、深刻な結果を招いているニュースが後を絶たない。

 

 

ファンドレージング開始前に全員集合の日本武道振興会

 

いじめ問題に立ち上がったCANADA日本武道振興会

 いじめは、「無視」、「仲間はずれ」、「冷やかし」、「からかい」、「言葉での脅し」などで始まることが大半で、その後、暴力、金品などを奪うなどに発展する場合が多いようだ。つまり、最初の早い段階で、いじめを避けることができれば、被害を軽度にできるのではないか。一方、いじめにあっても先生や父兄に相談しない子どもも多く、発見できていないケースも多々あるようだ。それは「仕返しを恐れる」、「心配させたくない」、「本人のプライドがある」といった理由で、さらにいじめを増長させる。また、いじめにあう被害者のタイプも特徴があるという。どちらかといえば、「引っ込み思案」で、「弱々しい印象を受ける」タイプが狙われるケースが多いという。また、「転勤などで移住した英語に不自由な子どもたちも心配だ」という声も上がっていた。  こうしたいじめの問題に日本武道家として「何ができるか…、少しでも役に立てることはないのか」と、空手、少林寺拳法、合気道、柔道、剣道それぞれの道場主5人の武道家同士が声をかけ合い、集まり、約1年間協議を重ね、CANADA日本武道振興会を立ち上げた。

 日本武道に共通していることは、ディフェンスが主で、攻撃のための技術向上が目的ではない。技を習得していくうちに、技への怖さ、技を使うことへの恐れ、奥深さを体感し、暴力を否定する気持ちが強くなる。また、「積極性」、「気迫」、「他に対するやさしさ」や、「気遣い」、「礼儀」などの学びは、日本武道の真骨頂ともいえる。

 日本武道振興会は、目的を次のように定めた。

●加盟武道団体間の連絡融和を図る。

●日本文化としての武道の伝統精神を守り、奨励する。

●日本武道の振興を通じて、青少年の健全な育成に寄与する。

●地域における健康増進と福祉の向上に貢献する。

 そして、初めての活動として、ピンクシャツ・デーへの参加を決めた。

 

 

CKNW AM980で実況放送中のブース

 

バンクーバー消防署のブース

 

今や世界的な広がりを見せるピンクシャツ・デー

 ピンクシャツ・デーの日を決め、ファンドレージングをし、『いじめ撲滅』をアピールしている国は、今や、70カ国を超えている。これは良いことか悪いことか。それだけいじめ問題が深刻化し、世界に広がっていることを物語っている。

 ピンクシャツ・デーの発端は、2007年、カナダ・ノバスコシア州の高校で始まった。ある日、一人の生徒がピンクのポロシャツを着て登校したところ、冷やかし、からかわれた。それを見た他の生徒が「明日みんなでピンクのシャツや、何かピンクのものを身に着けて登校しよう!」と、呼びかけた。すると翌日、学校はピンクに染まって、いじめは消えてしまった。この「いじめ対抗」の行動にちなんで2月の最終水曜日をピンクシャツ・デーと決め、カナダじゅう、いや世界へと広がっていった。

 カナダのピンクシャツ・デーをコーディネートしている団体は「Boys & Girls Clubs of South Coast of BC」。また、「CKNW NEWS・TALK AM980」のAM放送局をはじめ、消防署、London Drugs, Coast Capital銀行などが協賛している。

 

 

集めた募金をBoys and Girls事務局のスーザンさんに手渡す荒真紀子さんとハリス海君

 

ロンドンドラッグスの前はピンク色のTシャツで埋まった

 

日本武道振興会はピンクシャツデーの趣旨に積極参加

 ピンクシャツ・デーの前の稽古日には、各道場でピンクシャツ・デーの趣旨の説明や、アクティビティを行ない大いに盛り上げた。各道場が、ロンドンドラッグスで買い求めたキャンペーン用のピンクのTシャツは、なんと総枚数140枚。練習生の父母にもその趣旨が十分理解され、本番当日、早朝への参加につながった。

 バンクーバー市のグランビル通りのロンドンドラッグス前のファンドレージングは、午前7時から9時まで実施。日本武道振興会のメンバーは、31人。参加グループの中では最大級の人数となった。周辺の街角に5〜6人ずつ散らばり、出勤途上の人、ジョギングの人に声をからし、お願いした。快く応じる人が多く、参加した子どもたちも喜び、大満足の様子だった。こうして集まった募金はすべて、ピンクシャツ・デー実行委員会(Boys & Girls Clubs of South Coast of BC)へ寄付した。

 日本でも近年、ピンクシャツデーが盛り上がっている。

 先駆けとなったのが、高梨京子さん(代表)と村上桂子さん。 2011年、バンクーバーのピンクシャツ・デーを見たのがきっかけで、バンクーバーのBoys and Girls事務局の指導を受けながら設立。『Japan Pink Shirt Day』実行委員会のもと、盛り上げている。いじめの問題だけでなく、多様性を認め、お互いを尊重しあう社会の実現を目指し活動している。

 

●CANADA日本武道振興会への問い合わせは・・・  

Email: This email address is being protected from spambots. You need JavaScript enabled to view it.   

Facebook page:  http://www.facebook.com/japaneseMartialArt Canada 

●いじめ問題など子どもの教育に関する相談窓口は・・・  

BCCPAC(BC州の教育委員会) http://www.erasebullying.ca  

    

(取材 笹川守)

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