ロイヤル・ウィニペグ・バレエ団『くるみ割り人形』

カナダを舞台に演出

ベテラン・ダンサーに混じってねずみや兵隊、雪の精を演じるのは、ローワー・メインランドからオーディションを受けて選ばれた約70人のちびっ子ダンサーたち。
幕開けに男の子たちがホッケーをして遊んでいたり、国会議事堂の前でRCMPの兵隊とネズミたちが戦うなど、カナダを舞台にしたオリジナリティあふれる演出に注目!

幅広い役作り 江澤弥生さん

今回の『くるみ割り人形』では、ヤングガールズからシュガープラム・フェアリー、スパニッシュの踊り、クララのおばあさんと叔母さん役など幅広い役作りに挑戦するセカンド・ソリストの江澤弥生さん。
「役作りは、自分がもしその人物だったらどのような行動をとるのかと考えます。ヤングガールズですと、踊りではエネルギーとはつらつ感を出すものの、演技の場面では自分の性格であるシャイな部分を強調させるようなしぐさをしたりします。何人かが同じ役をシェアーしているわけですが、演じる人によってまったく違う印象を受けるのも舞台の魅力だと思います」
セカンド・ソリストに昇進して主要な役柄が増えてきた今シーズン。「舞台を踏むたびにたくさんのことを学び、もっともっと踊りに磨きをかけていきたいと思っています。それには日々の継続的な小さな努力、ケアが本当に大事になってくることを最近ますます実感しています」
カナダ生活も今年で12年め。クリスマスは友達とパーティーをしたり、婚約者の彼とゆっくり過ごすという。

えざわ・やよい:

千葉県出身。9歳でバレエを始め、2001年にロイヤル・ウィニペグ・バレエ学校プロフェッショナル部門に留学。その間数々の賞を受賞。研修期間を経て同バレエ団に入団し、8年めの今シーズンからセカンド・ソリストとして活躍中。2006年度USA国際バレエ・コンクールで準決勝進出。2007年度上海国際バレエ・コンクールで準決勝を果たした。

振り付けもこなす 三野洋祐さん

今回の公演でフリッツ(クララの兄)を踊る三野洋祐さん。「この役に限っては10年近くやっているので、くるみ割り人形の音を聞いただけで自然に入っていける気がします!」と話すベテラン。
5月に行われた友人ダンサーの引退公演では振り付けを担当。「ウィニペグ・バレエ団の舞台で初めて自分の作品を踊らせてもらいました。昔から一緒に踊っていた仲間なので感慨深い経験になりました」
今年は所属するもうひとつのダンス・グループのツアーでアメリカへ行き、ほかのバレエ団の人たちと公演していい刺激を受けたという。
バンクーバーでは日本食を食べるのが楽しみのひとつとか。

みの・ようすけ:

石川県金沢市出身。9歳でバレエを始め1998年、ロイヤル・ウィニペグ・バレエ学校プロフェッショナル部門に留学。1999年に卒業後は、子ども向けテレビ番組『ザ・トイ・キャッスル』などに出演。ボストン・バレエ団で1シーズンを過ごした後RWBに戻り、現在ソリストとして活躍中。『ピーターパン』では主役ピーターに抜擢され好評を得た。

Canada's Royal Winnipeg Ballet『Nutcracker』

12月14日 (金)~16日 (日) 7:30PM / 12月15日と16日 2:00PM
The Queen Elizabeth Theatre
料金 : $30.25~$87.75+Tax(サービスチャージ別)
チケットマスター 電話 : 1(855)985-2787 / www.ticketmaster.ca

Gohバレエ・アカデミー『くるみ割り人形』

マジカルで夢いっぱい

2009年から始めた『くるみ割り人形』の公演が、すっかりお馴染みとなったGohバレエ・アカデミー。一般オーディションで選ばれた生徒にニューヨーク・シティー・バレエ団からプリンシパル・ダンサーを迎え、バンクーバーオペラ・オーケストラが生演奏する。
マジシャンの登場や巨大に変化するクリスマスツリーなど、クラシック・バレエの域を超える楽しい演出が見もの。

Goh Ballet 『The Nutcracker』

12月19日(水)~22日(土)7:30PM / 22日と23日 2:00PM
The Centre in Vancouver for Performing Arts(777 Homer St, Vancouver)
料金 : $32~83.25+Tax
チケットマスター 電話 : 1 (855)985-2787 / www.ticketmaster.ca

阿部ちひろさん

2009年の公演でクララ役を踊った阿部ちひろさん(13)は今年 、 昨年と同じMerlitons(マジパン)を踊る。「ステップがむずかしいのでいろいろと悩んでいます。少しでも自分がきれいに見えるように練習中です。
9月からセカンダリースクールに通っていて、午前中は学校、午後はバレエの毎日です。毎日レッスンができてうれしいのですが、バレエは上達するのには時間がかかると実感しています。悩みもいっぱいですがコツコツがんばっていこうと思っています。
今年もマジシャンやかわいい子どもたちがたくさん出てきますので、皆さんぜひ観に来てください」

上草吉子さん

プロのバレエダンサーを目指す上草吉子さん(17)は雪の女王、アラビアのダンスと雫の精の3役を踊る。練習は平日4〜5時間、週末は6〜8時間くらい。公演のリハーサルをこなしつつ、練習と勉強の毎日を送っている。
今年は2つの大きなインターナショナル・バレエコンペティション(フィンランドとブルガリア)に出場。2週間にわたるスタミナと忍耐力のいるコンペティションで、ファイナリストとしての成績を残した。
「GOHもあっという間に5年目に突入し、でも毎日新鮮な気持ちで練習に励んでいます。特に今年は大きなインターナショナル・バレエコンペティションに出場し、自分をより良く向上させるにはということに一層力を入れられるようになりました。クオリティの高いダンスで観客の方々に喜んでいただけることを1番に考え、心に響くパフォーマンスを目指しています」

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。