二年連続のバンクーバーでのライブ
B'zは昨年もバンクーバーでライブを開催し、大成功を収めた。今年は会場の規模を拡大し、昨年よりもさらに多くのファンが集結。開演前には熱気に溢れた大勢の観客がスマイス通りに行列を作った。バンクーバー交響楽団の本拠地で、クラシック音楽の演奏会に使われることの多い重厚な雰囲気のオーフィアム・シアターとB'zの音楽というユニークな組み合わせを楽しめるのは、北米ツアーならではの体験だろう。
新曲と懐かしのヒットソング、どちらも堪能
開演時間になると観客は総立ちとなり、舞台上にサポートメンバーの増田隆宣さん(キーボード)、シェーン・ガラスさん(ドラム)、バリー・スパークスさん(ベース)、大賀好修さん(ギター)が登場するや、喜びの歓声が沸き起こった。そして、ついに松本さんと稲葉さんが現れ、「Love Bomb」の演奏が始まると会場は興奮の渦に包まれた。「Love Bomb」は、2005年にリリースされたヒットシングル「愛のバクダン」を、新たに英語詞で書き下ろしてリ・レコーディングした新曲だ。
今回のライブでは、最新シングル「GO FOR IT, BABY -キオクの山脈-」やゲーム「ドラゴンズドグマ」の主題歌として人気の「Into Free -Dangan-」など新しい曲の数々に加えて、「Easy Come, Easy Go!」、「もう一度キスしたかった」、「ZERO」など懐かしい曲もたっぷりと披露。会場は大いに盛り上がり、一緒に口ずさむ観客も多かった。
英語と日本語両方のMC
英語が堪能な稲葉さんは、曲の合間には英語と日本語両方のMCで盛り上げた。「美しいバンクーバーにまた来られて嬉しいです。しかも、こんな素晴らしい劇場でライブができて。日本にはこういう劇場はないと思います。歌舞伎座はありますけどね」など、流暢な英語で観客に語りかけた。
松本さんも、「皆さん、楽しんでいますか?僕は楽しんでいます!」と英語で挨拶。サングラスをはずし、観客にその笑顔を存分に見せてくれた。
B'zがバンクーバーでライブを行うのは、今回で三回目となる。稲葉さんが「三回全部見に来た人ー!」と呼びかけると、多くのファンが歓声で答えた。続いて、「二回目の人ー!」と「初めての人ー!」それぞれにも大反響。ライブには古くからのファンも、新しいファンも詰めかけたことがわかる。稲葉さんは、それぞれに「ありがとう」と何度も感謝の言葉を繰り返した。
サポートメンバーも大活躍
カナダのアルバータ州出身で、すでに10年以上B'zのドラマーを務めているシェーン・ガラスさんも、パワフルな演奏で会場を大いに沸かせた。中盤では稲葉さんを除くバンドでのジャム演奏があり、松本さんとサポートメンバーが大活躍。普段から仲が良いというサポートメンバー全員の息の合った演奏に、大きな歓声が送られた。ギターがメインの演奏では、松本さんのギターと大賀好修さんのギターの音色が心地よく絡み合い、観客をうっとりと酔わせた。
アンコールでは「Home」と「BLOWIN’」を熱唱
ライブ本編で15曲を披露し一度ステージを去ったB'zは、鳴り止まぬ拍手に応えて再び登場。アンコールでは、切なく美しいメロディと歌詞が印象的な「Home」を披露。最後はアップテンポの「BLOWIN’」を観客と大合唱して締めくくり、会場は温かい拍手に包まれた。
デビュー24周年
1988年9月21日にシングル「だからその手を離して」とアルバム「B'z」の同時リリースでデビューしたB'zは、9月21日に25周年の節目の年に突入。つまり、9月20日に行われたバンクーバーでのライブは、24年目の最後の仕事だった。祝福の気持ちを込めて、客席には「24」と記されたポスターを持ったファンが多く見られた。
これからも世界を舞台に活躍してほしい
2007年に「ハリウッド・ロックウォーク」への殿堂入りを果たすなど、世界中で高い支持を集めるB'z。今回の北米ツアーでは、サンフランシスコ、シアトル、バンクーバー、トロント、シルバースプリング、ニューヨーク、ロサンゼルスの七都市をまわり、最終日10月7日のロサンゼルス公演は、GyaO!とUSTREAMで全世界に配信されることも発表された。
日本とは違う環境でライブを行うには、多大な労力が必要だろう。それにもかかわらず積極的に海外のファンと直接交流するB'zの姿に「応援したいという気持ちが一層強くなった」という声がライブ後には多く聞かれた。世界を舞台に挑戦を続けるB'zから今後も目が離せない。
(取材 船山祐衣)