2019年9月5日 第36号
ブリティッシュ・コロンビア州バーナビー市の日系文化センター・博物館(以下日系センター)で、8月31日と9月1日に第7回目となる日系祭りが開催された(メディアスポンサー:バンクーバー新報)。2日間で約14000人の入場者が訪れ今年も盛況となった。
︎高円宮妃久子さま(中央)、羽鳥隆在バンクーバー日本国総領事(左から2人目)、ルイーズ阿久沢さん(久子さまの左)、(久子さまの右から)ケーラ・後新門フォスターさん、マイク・ハーリー・バーナビー市長による鏡開き(写真 Manto Artworks)
カナダにゆかりの深い高円宮妃久子さまもご臨席
日系センターのメインビルディング正面にあるガーデンには建友会によるやぐらが建てられ、開会式がおこなわれた。安武優子さんが日英両語で司会を務め、スコーミッシュ族首長のサム・ジョージ氏による歓迎と祝福の歌で式が始まった。最初に、日系文化センター・博物館事務局長のケーラ・後新門フォスターさんと、日系祭り実行委員長のルイーズ阿久沢さんがそれぞれあいさつ、日系祭りがスポンサーや多数のボランティアによって支えられていると語り、来場者に楽しい時を過ごしてほしいと話した。
次に羽鳥隆在バンクーバー日本国総領事が、いろいろな形で日本の文化に触れることのできる日系祭りを自身も楽しみたいと話した。続いて、カナダを非公式にご訪問中の高円宮憲仁親王妃久子さまがあいさつされた。世界にはさまざまな祭りがあるが、共通しているのはコミュニティーをまとめ、人と人をつなげる役割があると思うと述べられた。また、日加修好90周年を迎えられたのも、日加両国の人々が根気よく友好関係を紡いできたからこそだと話された。最後にバーナビー市長のマイク・ハーリー氏があいさつ、日加が継続してきた友好関係の節目の年に、バーナビー市に高円宮妃久子さまを迎えられたことは光栄であると述べた。
高円宮妃久子さまが見守る中、羽鳥隆総領事、マイク・ハーリー市長、ケーラ・後新門フォスターさん、ルイーズ阿久沢さんが、鏡開きをおこない日系祭りの始まりを祝った。
食・買い物・ゲーム、楽しみ方いろいろ
館内ロビーに設置されたゲームゾーンでは、ヨーヨー釣り、射的など日本のお祭りで人気のゲームが多数あり、家族連れを中心ににぎわっていた。2階では、彩月会による浴衣着付け体験やハローキティ&フレンズの砂絵ワークショップが今年も大人気。また今年は、コーヒーやお茶、デザートを楽しめる日系カフェが用意された。1階ホールには、アクセサリー、和風小物や雑貨、着物などさまざまな店が出店、多くの人が買い物を楽しんでいた。武道場では、武道各種のデモンストレーションがおこなわれ、道場内には入りきれないほどの人が押し寄せていた。やぐらのすぐ側にはビアガーデンが設置された他、ラーメン、焼きそば、クレープ、たこ焼きなどの屋台には長蛇の列ができていた。天気にも恵まれ思い思いに楽しむ姿が見られた。
多彩なパフォーマンス
メインステージでは各種パフォーマンスがおこなわれた。日本からのスペシャルゲストは、今年7月にファーストアルバムを発表したカンツォーネシンガーのJ Shimizuさん。カンツォーネの名曲を中心に美しい澄んだ歌声で観客を魅了した。続いて登場した彩月会の日本舞踊の際にも、 J Shimizuさんが「荒城の月」と「すみれの花咲く頃」を歌い、彩月会の踊りとコラボを披露した。
バンクーバー・ポリッシュ劇場が提供するバグとスチュは、バーバ・ヤーガと山姥という2人の魔女が自分たちの遠い子孫であるバグとスチュを探す旅に出るという劇。子ども向けとなっているが、テンポの良い掛け合いは大人も楽しめる内容だった。
日系人の映画・TVスター、タムリン・トミタさん、ケヴァン・オオツジさん、ジェニファー・スペンスさんによるトークショーでは、日系人俳優としての映画や舞台での経験、日系コミュニティーや日系文化とのつながり、今後どんな役にチャレンジしてみたいかなどを語った。
その他にも、フラダンス、和太鼓演奏、沖縄太鼓、合唱、箏アンサンブル、アイドルグループのダンスなど、さまざまなパフォーマンスが楽しめた。
祭りスター・タレントサーチ(バンクーバー新報提供)
タレントサーチは毎年高い実力を持った出場者が競い、観客にも感動を与える日系祭りの目玉ともいえる。今年は予選を勝ち抜いた14組のパフォーマーが日系祭り初日に準決勝に進み、9組が2日目に行われた決勝に進出した。バトントワリング、タップダンス、歌、ギターでの弾き語りなど、どの組も決勝まで勝ち抜いてきただけに見ごたえがあった。審査を待つ間、昨年優勝したVIBE ANTHEMの皆さんがダンスを披露。このグループのうち2人が今年の決勝戦にもタップダンスで出場した。
優勝に輝いたのは、キア・ピーターズさん。ステージに置かれたスーツケースから飛び出してドラえもんの歌を歌いだすという演出も素晴らしかったし、ステージの端から端まで動き回りながら元気に歌う姿が印象的だった。キアさんには賞金として500ドルが贈られた。準優勝にはカイラ・ワングさんが選ばれた。ポッピングアニメーションというコマ送りのような動きやパントマイムのような動きを取り入れた不思議な魅力のダンスを披露。カイラさんには賞金200ドルが贈られた。優勝したキアさんが最後に、ジブリアニメ「となりのトトロ」の曲を元気に歌い、大喝采を浴びた。
(取材 大島多紀子)
スコーミッシュ族首長のサム・ジョージ氏
日系人俳優のジェニファー・スペンスさん、ケヴァン・オオツジさん、タムリン・トミタさん(左から)。3人はトークショーの後、来場者と写真を撮る時間も設けた
毎回たくさんの人が訪れる彩月会による浴衣着付け体験(写真Manto Artworks)
いつも大盛り上がりの楽一による神輿(写真Manto Artworks)
J Shimizuさんは舞台のあと、CD販売とサイン会を開催
バグとスチュの物語は大人も子どもも楽しめる(写真 Manto Artworks)
審査員の皆さんと優勝したキアさん、準優勝のカイラさん
タレントサーチ優勝のキア・ピーターズさん(左)とバンクーバー新報社の津田佐江子社主(写真Manto Artworks)
タレントサーチ準優勝のカイラ・ワングさん(左)と津田佐江子社主(写真Manto Artworks)
タレントサーチで元気いっぱいの素敵なパフォーマンスを披露したキア・ピーターズさん(写真Manto Artworks)
ロボットのような動きやアニメーションのコマ送りのような動きが特徴的なカイラさんのダンス(写真Manto Artworks)