2018年9月6日 第36号

第6回「日系祭り」(メディアスポンサー:バンクーバー新報)が、9月1日(土)、2日(日)の2日間、ブリティッシュ・コロンビア州バーナビー市の日系文化センター・博物館で開催された。参加者は、昨年を上回り14,000人(日系センター発表)。天気も良く、木陰には涼し気な風もそよぐ格好の祭り日和であった。ファーストネーションが伝承する歌と太鼓の音色でオープニングセレモニーが開催。あいさつに立ったバンクーバー日本国総領事館の多田雅代首席領事は、「関係者の皆さまの情熱と努力で、第6回目の日系祭りの日を迎えることに敬意を表します。今年は、総領事館としまして、外務省の『日本ブランド発信事業』の一環で、伊賀流忍術継承者の知之助さんをお招きしました。日本文化をよりいっそうご理解いただき、日系祭りを存分にお楽しみいただきながら、カナダとの友情をさらに深めていただきたい」と述べた。この言葉を受け、バーナビー市のデレク・コリガン市長は、「バーナビー市は、日本の釧路市と姉妹都市として50年を超える友情を深めてきた。この日系祭りは、BC州、バーナビー市の文化として根付いて来たように思います。今日は、市の職員も参加しておりますので市へのご要望など、お気軽に声をかけ、ご相談ください」と、友情の深まりをたたえてくれた。

 

開会式で乾杯(左から)ルイーズ阿久沢日系祭り実行委員長、デレク・コリガン・バーナビー市長、多田雅代首席領事、ロジャー・レミレー日系文化センター・博物館事務局長

 

恒例の鏡割りでスタート。早々に館内入場手続きコーナーには、長蛇の列。フードコーナーからは、食欲そそる匂いが…お昼頃にはいずれの屋台にも長蛇の列。館内では一時期、身動きが取れないほどににぎわった

 祭りには欠かせない、お好み焼きやたこ焼き、焼きそば、たい焼き、クレープ、餃子、ラーメンなど懐かしい屋台に、今年は、日本から飴細工の(Amazing Candy)なども加わった。館内のゲームゾーンでは、風船ダーツや射的、ヨーヨー釣り、スーパーボールすくい、輪投げ、ハローキティ砂絵のワークショップなどなど、盛りだくさん。親子ともどもたっぷり楽しめるコーナーが例年に増して充実していた。

 オープニングセレモニーのあと、ガーデンでは、太鼓が鳴り響き、楽一のお神輿が威勢よく練り歩き、お祭り気分は、いやが上にも盛り上がるのであった。

 初日の館内のステージでは、さくらシンガーズのコーラス、今年のフェスティバル・パートナーのインドネシアの伝統的なダンスや、彩月会の舞踊、Seishun Youth Academyのダンス、琴のアンサンブル、午後4時半ごろからは、バンクーバー新報提供の「祭りスタータレントサーチ」のセミファイナルなどがおこなわれた。

 館内には、おしゃれ小物、和のテイストの小物、着物リメイク、浴衣着付け、アパレルショップや和菓子、日本のキャラクターおもちゃ屋さんなどが出店。そぞろ歩きで冷やかして回る楽しさもお祭りならではのもの。

 また、武道場では初日が合気道、空手、居合道、2日目に剣道、少林寺拳法、柔道の演武が行われた。

 午後3時から4時までは、ガーデンに組まれたやぐらのまわりで、彩月会を中心に飛び入り歓迎での盆踊り。浴衣を着た人も着ない人も輪になって、伝統的な曲や新しい曲に合わせて老若男女が踊り踊って賑やかに。日ごろのモヤモヤも吹き飛ばして楽しんでいた。また、インドネシアのダンスも、その衣装やエキゾチックな曲に合わせた手先、身体の動きが南国への旅情を誘っていた。

 

9月2日、伊賀の忍びの者、知之助が参上!

 今、海外からの公演依頼がひっきりなしの「忍術実演ショー」が、日本の外務省の『日本ブランド発信事業』の一環で、伊賀流忍術継承者の知之助さんが特別出演。相手役の虎徹さんとともに、本物の忍具を使って、迫力満点のデモンストレーションと解説を行った。忍者についてはカナダでも映画やテレビ、マンガなどで広く知られているが、本物を見るのは初めてで息をのむ興味と興奮で会場が満ちあふれていた。その敏捷な動きや、肉体の強靭さのイメージとは裏腹に、傘の上で升を回したり、コインを回す曲芸を舞台にこどもを上げていっしょに楽しませる優しさ、そして、得意技の手裏剣を披露。これには、こどもも大人も参加して実際に投げる体験ができた。一生忘れない思い出となることだろう。

 忍術は、戦国時代にあみ出されたもの。忍者は、情報収集や凋落、暗殺などをする役割も担っていた。このため長い間、世に忍ぶ姿で、忍者の道具や心得を忍術伝書として密かに伝えられていた。今回来加した知之助さんは、彼の父親から伝承され、虎徹さんは、知之助さんとともに修行に励んできた。現代によく知られている空手、柔道、合気道、剣道などの日本武道の技のルーツに忍術につながるものがあるという。日本武道が最も尊ぶ精神性といわれる「忍耐」「誠意」「礼儀作法」「優しさ」などの理念は同じで、世界の人々に技だけではなく、その精神性も理解されている。三重県・伊賀の忍者屋敷は、どんでん返しや隠し階段、仕掛け戸などがあり、忍者の生活や歴史を学べる。同時に道場としての役割もあり、「くノ一」と呼ばれる女忍者も忍術修行に励んでいる。また入門希望者も多く、今後さらに広く伝承していきたい、と実演の後のインタビュー・タイムで知之助さんが意欲を語っていた。

 

2018年、バンクーバー新報提供の『祭りスタータレントサーチ』の栄冠はVIBE ANTHEMのブレイクダンスに輝く!

 今回のファイナルには、8組が登場し、それぞれが前日のセミファイナル以上の実力を発揮。音楽、ダンス、芸能など、各界のプロ5人の審査員の頭を悩ませた。その審査結果、VIBE ANTHEMのブレイクダンスの少年少女グループが1位、$500を獲得。2位は、シンガーソングライターのASHLEY PATER、$200を獲得。また、会場の人気投票N0.1もVIBE ANTHEMでオーディエンス賞を獲得した。

 

 第6回「日系祭り」のフィナーレは、旅行券や、ホテル宿泊券などが当たるラッフル・チケットの当選発表。閉会の言葉は、日系センター事務局長のロジャー・レミレーさんと日系祭り実行委員長のルイーズ阿久沢さん。350人におよぶボランティアの皆さんやスポンサー、関係者への謝辞で幕を閉じた。

 

(写真提供 Manto Artworks /取材 笹川守)

 

パートナー国インドネシアよりFirman Priambodo首席領事(中央)とパートナー(左)、在バンクーバー日本国総領事館より多田雅代首席領事(右)

 

楽一によるお神輿

 

ロビーがキッズゲームゾーンに

 

日本から参加の飴細工アメージングキャンディー

 

今年のパートナー国インドネシアのダンス

 

武道デモンストレーション

 

伊賀流忍術継承者の知之助さん

 

来場者とフォトセッション(左は相手役の虎徹さん、右側が知之助さん)

 

伊賀流忍術継承者の知之助さん

 

実際の石垣を登るトレーニングをしています。指も強くなります

 

VIBE ANTHEMが優勝。津田佐江子社主より賞金授与

 

2位のASHLEY PATERさん。津田佐江子社主より賞金授与

 

18組の中から決勝進出の8組(右側が優勝者のVIBE ANTHEM)

 

旅行券やホテル宿泊券などが当たるラッフル・チケット

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。