2018年8月30日 第35号

ナイアガラの滝というと、日本の地理の授業で誰もが一度や二度は、聞いたことがあるだろう。また長年カナダに住んでいる人なら、友達や両親から「カナダに遊びに行ったらナイアガラの滝にも行ってみたい」と言われたことがあるだろう。記者にとってもカナダに住んでいる限り絶対に行っておきたい場所の一つであった。そしてそれを実現させたのだが…

ナイアガラの滝は、そんなに大きくなかった。前もって調べれば、ナイアガラの滝の高さなんて、誰にでもわかる話なのだが、それでもインターネットで掲載されている写真やレビューなどから、グランド・キャニオン級の絶景地から凄まじい量の水が落ちて来るのを想像していた。でもそんな期待が裏切られたと感じたのは、記者だけではなかったようだ。「期待はずれの海外人気観光スポット」にナイアガラの滝が度々登場するのは、それを裏付けている。本紙では、ナイアガラの滝の本当の姿を紹介したい。

 

人気海外観光地として知られるナイアガラの滝

 

ナイアガラの滝とは

 ナイアガラの滝は、五大湖のエリー湖からオンタリオ湖へと流れるナイアガラ川の中間地点にある。カナダのオンタリオ州とアメリカのニューヨーク州を隔てる国境に位置する。3つの滝から構成され、カナダ側のナイアガラの滝(カナダ滝)とアメリカ側のナイアガラの滝(アメリカ滝とブライダルベール滝)がある。

 滝の高さは、カナダ滝56メートル、アメリカ滝58メートル。ブライダルベール滝55メートル。超高層ビルに例えると15階〜20階の高さだろう。バンクーバーのように、高層ビルに囲まれた都市に住んでいる人なら、この高さに見慣れているので、ナイアガラの滝が高いと思える人が少ないかもしれない。それでは、ナイアガラの滝の何がすごいのかというと、幅が広いことにある。カナダ滝は幅675メートル。アメリカ滝は幅330メートル。そして、単独で流れる滝の水量も大きい。最大毎分168,000㎥、平均毎分110,000㎥の水量が流れている。

 

滝を感じる

 ザザーと流れる滝の轟音を聞く。水しぶきを肌で感じる。実際に匂いをかいでみる。いろんな角度から滝を眺めてみるなど、五感を通して、ナイアガラの滝を楽しめるように、ユニークなアトラクションがここではたくさん提供されている。

 一番の人気どころは、遊覧船に乗って滝壺まで行き、水しぶきを肌で感じるホーンブローワー(Hornblower)だろう。ポンチョを貸してもらえるが、それでもずぶ濡れになってしまうほどの水しぶきは迫力満点だ。夏季シーズンの日中は、待ち時間が2時間になってしまうほど長蛇の列ができるので、人混みを避けたければ午前8〜9時に行くことをお勧めする。着替えも持って行くといいかもしれない。所要時間は約20分。

 Journey behind the fallsは、その名の通り、滝の裏側へ行くアトラクションで、滝を真横と裏側から眺められる。エレベーターで約45m降り、そこからトンネルに入る。滝を裏から眺めるビュースポットと、真横から見上げることができるデッキに繋がっている。

 昨年ナイアガラの滝に行って驚いたのが、ジップラインがナイアガラ渓谷に登場していたことだ。ミストライダー・ジップライン(MistRider Zipline)と呼ばれ、2016年にできたようで、渓谷に吊られた約670メートルのワイヤロープを滑空するといったもの。滑空しながら、ナイアガラの滝の眺めを楽しむというスリル満点の発想だ。どれだけの人がジップラインで滑空しながら、ナイアガラの滝の眺めを楽しむ余裕があるのか気になるところだが、これは絶対に一生忘れることのない思い出となることだろう。見ている側は、落ちたりしないだろうかと心配になるほどだ。

www.niagaracruises.com
www.niagaraparks.com

 

ナイアガラ・フォールズ(中心地)

 ナイアガラの滝があるナイアガラ・フォールズ市。現地では、ナイアガラの滝に加え、ダウンタウンなどの中心地を含めて、ナイアガラ・フォールズと呼ばれている。滝から1ブロック入ってすぐのところには、ダウンタウンがある。ここでは、観覧車やお化け屋敷、ミニゴルフにゲームセンター、またカジノといったアトラクションが所狭しと立ち並ぶ。お土産店やレストランやカフェも多く、町自体が遊園地のようだ。大自然の滝だけを目的にここにやってきた人たちは、観光客であふれるテーマパークのような派手な町並みに、ギャップを感じ、驚くかもしれない。反対に子供がいる家庭なら、子供たちが大喜びすること間違いなしだ。記者一押しのRainforest Cafe は、子供から大人まで楽しめるレストランだ。食事中、レストラン内の照明が急に暗くなったかと思うと、雷が鳴り出し、ゴリラや蛇といったジャングルには欠かせない動物たちが暴れ出す。その名の通り、レインフォレストで食事をしている気分になる。

レイン・フォレスト・カフェ
https://niagarafallsrainforestcafe.com/about-this-niagara-falls-restaurant/

 

 かいつまんで紹介したナイアガラの滝の姿。記者の周りの友人を含め、ローカルの間で「ナイアガラに行く」と言うと、「滝だけを眺めに行く」という目的より、「滝も見て、ナイアガラフォールズの町で思いっきり遊んでくる」というのが一般的である。アミューズメントパークのような町だけあり、アメリカやカナダの飲食店チェーン店も多く、スターバックスのコーヒーの値段が違うほど、町全体が少々割高であることも忘れずに。

 

(取材 小林昌子)

 

上から眺めるナイアガラの滝

 

滝壺まで大接近するフェリーでのツアー

 

滝壺まで大接近するフェリーでのツアー

 

ナイアガラフォールズ。町の様子

 

ゴルフもできる

 

ナイアガラフォールズ。遊園地のような町。カジノも

 

観覧車の中から眺めるナイアガラの滝

 

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