2018年5月10日 第19号
バンクーバーに初夏を告げるスポーツイベント「BMOバンクーバーマラソン」が5月6日、開催された。ことしは65カ国から1万7千人のランナーが参加し、1972年から続く本大会の中でも最も大きな規模となった。毎年、バンクーバー在住の日本人はもちろん、日本からのランナーも多く、BMOマラソン広報担当者によれば、ことしは約110人の参加があった。
一斉に走り出すランナーたち (Photo: Christopher Morris / RUNVAN®)
まずは、ハーフマラソンを完走した二人の語学留学生。太田真梨子さんと下重みなみさん。語学留学を終え、これからカナダで就職する二人はルームメイトである。ある日、盛り上がった会話から急遽マラソンに参加してみようと思い立った二人。ハーフマラソンの感想を聞くと、10キロ地点からの後半がとても辛かったが、なんとか完走できたと語る太田さん。さらに下重さんは、ちょうどこの大会が行われた5月6日が誕生日だったようで、登録のときにそれを書いたら、スタート直前にアナウンスで誕生日が祝われ、びっくりすると同時にとてもうれしかったと語った。とても思い出に残る誕生日になったことだろう。
朝8時に始まった今大会、最初は少し暖かく感じるくらいだった気温も、太陽が昇ると共にだんだん上昇。フルマラソンのランナーたちが完走し始めるお昼頃は、すでに日差しは強く、ランナーたちにとってはやや厳しいコンディションとなっていた。体調不良者が出ることを懸念して、コースの各所には水分補給所が設けてあり、いざというときのため、救急車も待機していた。
そんな厳しい状況の中、フルマラソンを完走した元内真由美さん。元々はマニトバ州のウィニペグに住んでいたが、昨年バンクーバーに引っ越して来た。昨年はボストンマラソンに参加したが、バンクーバーマラソンには参加が間に合わず断念してしまったため、ことしはバンクーバーマラソンに参加したと言う。日差しがきつく、そんな中走るのは大変だったが、今大会で自己ベストの記録を更新することができて、満足だと語った。
日本から今大会に参加した渡辺秀樹さんは、今大会が初めての参加ではなく、過去にも何度もこのマラソンに参加するために日本から来ており、偶然にも数年前に弊紙のインタビューを受けたことがある。今回のカナダ訪問の目的は今大会に出場することだけだったが、いつもは大会に出た後、ロッキー山脈などを観光してから帰国していると語ってくれた。
ことしの春は比較的に寒暖差が激しく、寒い日は気温が1桁の日もあったが、この日は、まるでこのマラソン大会開催に合わせたかのように気温が高くなり、初夏を呼び込んだかのようであった。そしてランナーたちの熱気が、この日の日差しよりも熱い、マラソン大会となった。
(取材 榊原理人)
コースである道路を埋め尽くす程の参加ランナーたち (Photo: Christopher Morris / RUNVAN®)
ハーフマラソンを完走した語学留学生の太田真梨子さん(左)と 下重みなみさん(右)
フルマラソンを完走し、 自己ベストを更新したバンクーバー在住の元内真由美さん
フルマラソンに 日本から参加した渡辺秀樹さん
ランナーたちのコースを示すかのように置かれたイヌクシュク (カナダの原住民イヌイットの石組) (Photo: Jeff Bell / RUNVAN®)
海と空、真っ白な砂浜を背景に走って行くランナーたち (Photo: Jeff Bell / RUNVAN®)