フレンチイマージョンの成り立ちと内容

フレンチイマージョン教育は今から40年以上前にカナダで始まったもので、英語話者が外国語であるフランス語で全科目の教育を受けるというシステムである。元々は、ケベック州に住む英語話者の親たちが自分の子供たちにフランス語を早く効率的に学習してもらいたいという気持ちから始まったとされる。カナダが発祥とされるこの教育法は、外国語を母国語に近い程度まで学ぶ効率的な方法として他国でも応用されている。なお通常の英語クラスでは、日本での英語教育のように1つの教科としてフランス語の授業が通常グレード4から始まるが、これはコアフレンチとして区別されている。
BC州でのフレンチイマージョンはキンダーガーテンから始まるアーリーイマージョン(以下EI)と、グレード6から始まるレイトイマージョン(以下LI)とに分かれている。前者の場合、ほとんどはキンダーから入学するが、定員に空きがあればグレード1から入学することも可能。どちらもグレード12まで受けることができる。EIの場合、キンダーからグレード3までは授業のすべてをフランス語で受けることになる。先生が生徒に話しかけるのもすべてフランス語であるし、生徒同士もフランス語で話すことが求められる。もっともキンダーでは先生の判断で英語も多少混ぜているようだ。またグレード1までは生徒がフランス語で話していなくても多少は目をつぶってくれることもあるが、大体グレード2くらいから生徒間でもフランス語を使用するようにより厳しく指導される。グレード4から英語の授業も始まり、グレード7までの英語使用率はおよそ授業全体の20%ほどとされる。フレンチイマージョンであっても、学校の都合上、音楽や体育は英語で受ける場合もある。LIの場合グレード6からフランス語のみで授業が進められるが、グレード8あたりから少しずつ英語の使用率が上がっていくようになっている。
キンダーから入学するEIでは生徒がフランス語の知識を持っていないままスタートする。カナダではフランス語の授業が必修なので多くの親がある程度知識は持っているが、母国語並みに話せる人はやはり少数。そのような背景を考慮したうえで、フレンチイマージョンの先生も親が子供の勉強を100%見てやれなくても大丈夫なように工夫しているようだ。先生が親と話す時は英語、子供と話すときはフランス語と使い分けてくれる。もちろん家庭でもなるべくフランス語の歌やお話を聞いたり、TVでフランス語プログラムを見たりといった努力は奨励される。
フレンチイマージョンに子供を入学させる親は、教育熱心な傾向があるようだ。フレンチイマージョンの場合、フランス語が上達しなくては学校での成績全体に響くため親のほうも子供の習熟度をしっかり把握しておく必要に迫られるためだろう。英語の場合、普通に生活していても触れる機会が多いのに対して、フランス語は話す人が限られているのでフランス語を習得させることに積極的な努力が必要になってくる。低学年のうちにある程度基礎作りをしておかないと、後々授業内容が高度になってくるとついていくのが難しくなるので、 学校側でもフランス語が遅れている生徒には弱点を強化するため、補助教員によるレッスン枠を設けて学力の維持と向上を促している。

 

フレンチイマージョンの長所と問題点

フレンチイマージョンを選ぶ理由でよく聞くのが、小さい頃からフランス語を学ぶことで将来他の言語を学ぶ時に助けになるということ。グレード12まで受けて必要な単位を取得すればバイリンガル教育を受けた証書が授与される(大学などへの入学や就職が有利になる可能性につながる)。フレンチイマージョンは英語クラスのカリキュラムと同じ内容でフランス語で受けるという違いがあるだけなので、学業に遅れが出ることはないとされている。英語力がつかないのではないかという不安を持つ人が多いが、様々な調査によると低学年のうちは英語の読み書きがやや劣る傾向があるが、高学年になってくるとむしろ英語クラスの生徒よりも読解力で勝る生徒が増える傾向にあるとされている。
問題点とされているのは、教室内だけで通じるフランス語になりがちで様々な場面での言葉の使い分けの習得が困難、先生や教材などを一方的に聞くことが多く聞くことは上達しても話すことが弱くなることもある、英語が混じったフランス語を話すようになっても周りが理解してくれるのでなかなか直らなくなる、習っても使うところがなく維持するのが難しいといったところ。
EIかLIかどちらを選ぶかについては子供の性格などにもよって違うが、一般に小さいうちから始めたほうがスムーズに覚えられるといわれている。スタート時点ではどの生徒も全くフランス語の知識がないことがほとんどなので挫折感を味わうことなく始められるだろう。LIはグレード6から集中的にフランス語のみで授業がおこなわれるため、生徒にやる気がないとついていけなくなる可能性がある。そのため、フランス語の授業に熱心に取り組む、英語の授業が得意科目の1つである、勉強熱心であるというような素質があるほうが望ましいとされている。

 

情報収集は大切、様々なサイトなどをチェックして!

フレンチイマージョンは、公立校のプログラムなので希望すれば誰でも無料で義務教育として受けることができる。通っていれば自然にバイリンガルになれる、と簡単にいくわけではないが、子供の教育のひとつの形式として考慮する価値は大いにあるだろう。レジストレーションは、英語クラスと同様に2月ごろ開始する学校が多い。人気が高いため地域によっては入学できる優先順位を定めていることもあるので、事前に確認をしておくのもいいだろう。市の教育委員会(school board)のウェブサイトでは、レジストレーションの時期、学区、学校案内などの詳しい情報が得られるのでぜひ参考に。

 

また、フレンチイマージョンに子供を通わせる親の会
CPF(Canadian Parents for French/ http://www.cpf.bc.ca/site3/index.php/home )などといった関連サイトもある。

 

(取材 大島多紀子)

 

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