2016年9月15日 第38号
第2次世界大戦前にバンクーバーで活躍した日系カナダ人の野球チーム、バンクーバー朝日軍。このチームの栄誉を称えるとともに、子供たちに野球の楽しみを知ってもらおうと、9月5日、朝日レガシーゲーム(記念試合)がバンクーバー市のナナイモパークで行われた。
試合後は両チームで一緒に記念撮影をした
この日メインの試合は、日本遠征を予定している朝日チーム(13歳から16歳までの15人)と、日系カナダ人や日本からの留学生らで結成された朝日アダルトチーム(17歳以上)の対戦。
会場には朝日チームのTシャツや野球帽を売る店も出て、試合を盛り上げていた。
開会にあたり応援に駆けつけた岡井朝子在バンクーバー日本国総領事が、「朝日の新チームが結成されて、レガシーゲームができることは喜ばしいことです。戦前の差別等に苦しんでいた多くの日本人コミュ二ティに誇りと元気を与えてくれた朝日チームに、今では日本遠征チームが編成されているのは非常にうれしいことです。さらに、より幅広い層の方々にこれらの活動を知ってもらうためにも、皆さんの活躍に期待しています」と挨拶した。このあと岡井総領事の始球式によりゲームが始まった。
試合は中盤まで両チームの攻守にわたる好プレーで白熱した試合展開になったが、終盤に朝日アダルトチームが得点を重ね、17対7で勝利を収めた。
サトウ・ヒロキ君(15歳)は「試合には負けてしまったけれど、楽しくプレーができてとても良い経験になりました。もっとこのチームで練習をして日本の試合では勝ちたいと思います」と遠征チームに選ばれた喜びを語った。
イノマタ・ヨシキ君(15歳)は「試合では緊張しました。アダルトチームは打つのがうまくて、ピッチャーの球も速かったです。日本式の打ち方や守り方を見ることができて勉強になりました」と、これからはプレー中に声を出すところをまねしてみたいそうだ。
監督の猪亦功憲(いのまたあつのり)さんは「今日の試合による成果はあり、課題もたくさん見つかりました。子供たちにとっては良い経験になったと思います。このチームはまだ結成されたばかりですが、前回の日本遠征の経験者も3人残っているので、これからは練習と試合を重ねて遠征に備えます」と抱負を述べた。
また、チームやファンで構成される朝日クラブ理事の一人である小川学さんは、「朝日チームは日本との国際交流が主たる目的で、2017年3月に2回目の日本遠征を予定しています。やるからには強いチーム作りをして、日本のチームに挑むつもりでいます。日系カナダ人のコミュニティに対して心の支えになるように、運営を続けていきたいと思います」と語った。
(取材 古川 透)
試合終了時は日本のスタイルで整列したあと、お辞儀をして相手チームのメンバーに敬意を表した
試合終了後、両チームの選手たちは握手をを交わし、健闘を称え合った
先発で好投した日本遠征チームのジョセフ・コウノスケ・シンクレア君
自軍の攻撃を見守る日本遠征チームのベンチ
試合では随所に好プレーが見られた
マウンドに集まる日本遠征チームのメンバー
日本遠征チームのメンバー
始球式でキャッチャー(手前)にボールを投げる岡井朝子在バンクーバー日本国総領事
試合会場では、朝日チームのTシャツや野球帽などが販売された