2016年9月8日 第37号

ことし4回目となる日系祭りが、9月3日と4日にブリティッシュコロンビア州バーナビー市の日系文化センター・博物館で開催された。約1万1,000人の入場者が訪れ、さまざまなパフォーマンス、クラフトや日本文化体験、おいしい屋台フードなどを楽しんだ。

 

鏡割り。右から、バーナビー市市議会議員アン・カング氏、岡井朝子総領事、日系センター事務局長ロジャー・レミレーさん、日系祭り実行委員長ルイーズ阿久沢さん、渡井清憲BC州日本酒協会会長

 

日系の心をわかちあう

 日系センターのガーデン中央に建てられたやぐらでは、3日、オープニングセレモニーが行われた。

 スコーミッシュ族の長老サム・ジョージ氏が歓迎の歌を披露したあと、バンクーバー神輿の会・楽一による獅子舞が登場し、お祭りの気分を盛り上げた。そして安武優子さんによる司会進行のもと、日系センター事務局長のロジャー・レミレーさんと日系祭り実行委員長のルイーズ阿久沢さんが挨拶をした。

 続いて、岡井朝子在バンクーバー日本国総領事が、日系祭りの成功を祈るとともに、日本文化のさまざまな側面を楽しむことのできるこの祭りを存分に楽しんでほしいと来場者にメッセージを送った。最後に、バーナビー市市議会議員のアン・カング氏が、昨年バーナビー市と北海道釧路市が姉妹都市提携50周年を迎えた際、釧路を訪れ交流を深めたことを述べ、日系コミュニティの当地における存在の大きさを語った。

 鏡割りでセレモニーが終了すると、子どもたちが担ぐ神輿が登場。周りの声援に支えられて元気よくやぐらの周りをまわった。女性だけで担ぐ少し小さめの神輿、大人の男性が中心となって担ぐ神輿が現れると、周囲のかけ声もいっそう盛り上がった。

 また祭りの両日とも、彩月会による盆踊りが行われた。やぐらの周りには大きな踊りの輪ができあがり、日本の盆踊りを思い出させる懐かしく楽しい雰囲気に包まれた。

お祭りを楽しむ姿あちこちに

 日系祭りは、家族で楽しめる内容が盛りだくさんだ。日系センターの建物に入るとすぐに、子ども向けのゲームがずらりと並ぶ。ヨーヨーつり、スーパーボールすくい、射的、輪投げなどの他、子どもたちが大好きな綿菓子も販売されていた。

 大ホールのステージでは、さくらシンガーズ、コスカフェ、箏合奏、パペットショー、フラダンス、彩月会による日本舞踊、沖縄太鼓など、多彩な内容のパフォーマンスが繰り広げられた。ホール内には、アクセサリー、和風小物などを扱うベンダーが多数出店し、たくさんの人たちが買い物を楽しんでいた。

 建物2階では、ことし初めての企画という「Let's Craft」が人気を呼んでいた。フェースペイント、折り紙、バッジ作りなどを体験したり、バルーンで動物やアニメキャラを作ってもらって大喜びする子どもたちの姿が見られた。また、毎年好評のハローキティ&フレンズの砂絵ワークショップでも、子どもたちが熱心に作品作りに取り組んでいた。

 そして、彩月会が提供する浴衣の着付け体験はことしも大人気だった。浴衣を着つけてもらい、髪の毛もきれいにセットしてくれるという本格的な着付け体験。浴衣を着て会場内を歩き回り、楽しそうに写真撮影をする人たちがたくさんいた。

 建物の外に並ぶ、フード屋台には行列ができて大賑わい。たこ焼き、ラーメン、ハンバーガー、抹茶ドリンク、焼きそば、クレープなど種類も豊富で来場者を楽しませた。また、ビアガーデンではさわやかなオープンエアの中でビールと日本酒が楽しめ、日本の夏ならではの風物詩を感じさせていた。

 4日には、バンクーバーホワイトキャップスFCに所属する工藤壮人選手がサイン会を催した。長蛇の列ができたが、工藤選手は気軽に写真撮影にも応じ、その丁寧なファンサービスに訪れた人たちも感動していたようだ。

 日本からのゲストである歌手の前田由紀さんのライブが両日ともおこなわれ、ヒット曲『夏祭り』の他、ギターを手に弾き語りを披露した。また、日系祭りのステージで切れのいいダンスを披露した2人組のダンスグループMOMOAKKOさんは、2013年に行われた第1回のタレントショーで、前田さんの『夏祭り』をバックにダンスを踊り見事優勝した。今回、前田さんの生歌とMOMOAKKOさんの素晴らしいダンスのコラボが急きょ実現し、会場を埋めた観客にビッグなサプライズを届けた。

祭りスタータレントサーチ

 バンクーバー新報がスポンサーの『祭りスタータレントサーチ』では、約30組の応募者の中からオーディションを勝ち抜いた20組が3日の準決勝に出場、そのうちの10組が4日に行われた決勝に進出した。7人の審査員の1人として歌手の前田由紀さんも参加した。10組の決勝出場者は、ヒップホップダンス、歌、ピアノ、ヨーヨーなど、さまざまなジャンルで臨んだ。

 前日に続いての2日目ということもあって、どの出場者もリラックスできたのか、みな素晴らしいパフォーマンスを披露し会場の観客を感嘆させた。審査には観客も参加し、一番良かったと思う出場者に投票するシステムもとられた。その投票結果も踏まえて、最終的に審査員が審議するのだが、どの出場者も素晴らしく甲乙つけがたかったのか審査は長引いた。

 優勝に輝いたのは、「ドラムボーイズ」。「ちび太鼓」出身という3人組による和太鼓の演奏は、猿の着ぐるみを着た1人が兵士が叩く太鼓に加わって最後は3人(2人と1匹?)で、みごとに調和した演奏をするというストーリーになっていた。準優勝に選ばれたのは、ギターと歌の弾き語りをしたクイン・ピカリングさん。キッズ特別賞には、ピアノの連弾で映画『タイタニック』の主題曲を弾いたキアナ・ラビンスキーさんとケニー・リャングさんが選ばれた。また、最も印象に残ったパフォーマンス賞が、ミュージカル『マティルダ』からの曲を歌ったエマ・レイクさんに贈られた。

 日系祭りは、約350人のボランティアにも支えられ大盛況のうちに幕を閉じた。

(取材 大島多紀子/Photo by Miyuki Nakamura)

 

 

開会式で挨拶を述べる岡井朝子総領事

 

彩月会による盆踊りには、岡井朝子在バンクーバー日本国総領事もやぐらに乗って参加

  

獅子舞

 

迫力ある楽一の神輿

 

元気な声が響いた子ども神輿

 

さくらシンガーズは、日本の唱歌をメドレーで歌った(写真 大島多紀子)

 

裏千家による茶道デモンストレーション

 

コスカフェによるダンスショー

 

やぐらのまわりの盆踊りには三宅太鼓も参加

 

武道場ではカナダ日本武道振興会による武道のデモンストレーションが行われた。写真は少林寺拳法

 

ワイレレ・ワイワイ・フラダンスグループの踊り

 

ホワイトキャップスFCの工藤壮人選手によるサイン会は大人気(写真 Makie Blaine)

 

彩月会による日本舞踊

 

神楽舞『浦安の舞』伊藤みゆきさん

 

神楽舞『浦安の舞』平野弥生さん

 

表千家による茶道デモンストレーション

 

ストリートダンスグループ、ロブソン800

 

MOMOAKKOさんのダンスと前田由紀さんの歌がコラボ

 

日本からのスペシャルゲスト歌手の前田由紀さんのライブ

 

昨年のタレントサーチで優勝したハリソン・リーさんがヨーヨー演技を今年も披露してくれた

 

タレントサーチ準優勝のクイン・ピカリングさん

 

タレントサーチで優勝したドラムボーイズ

 

最も印象に残ったパフォーマンス賞を贈られたエマ・レイクさん

 

キッズ賞に輝いたキアナ・ラビンスキーさんとケニー・リャングさん

 

バンクーバー新報社津田佐江子社主より賞を授与されるドラムボーイズのみなさん

 

バンクーバー新報社津田佐江子社主より賞を授与されるクイン・ピカリングさん

 

クロージングでは真谷柾至さんの生前の写真がスクリーンに映しだされた

 

子どものゲームコーナー(写真 大島多紀子)

 

和菓子や氷スイカにはたくさんの人が集まっていた(写真 大島多紀子)

 

ハローキティ&フレンズの砂絵ワークショップはことしも大人気(写真 大島多紀子)

 

浴衣の着付けをしてもらってうれしそうなセリーン・ロリオットさん、クラリッサ・マーティンズさん、バネッサ・ワンさん(左から)(写真 大島多紀子)

 

彩月会による浴衣の着付けをしてもらったリアン・ホアン・ジュンさん(右)は、台湾から娘さん家族を訪ねてきていたそう(写真 大島多紀子)

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。