Canada’s Ballet Jorgen : カナダズ・バレエ・ヨーガン(以下CBJ)は、オタワ、ウォーター・ルー、ハリファックスに活動の中核地を持つトロントを拠点とするバレエ団。CBJには現在3人の日本人ダンサーが在籍し、アメリカやカナダ各地の舞台で公演をしている。

今シーズンCBJは2月に『眠れる森の美女』のバレエ公演でBC州各地をツアーする。

2月4日(木)クランブルック、6日(土)ネルソン、9日(火)バーノン、11日(木)チリワック、13日(土)ダンカン、18日(木)テラス、20日(土)キティマット、21日(日)プリンス・ジョージ、25日(木)メープル・リッジ。

チケット入手の詳細は http://www.balletjorgencanada.ca/

電話(CBJ):416-961-4725

 

バンクーバー新報から日本人バレエ・ダンサーの皆さんへ 尋ねたのは以下の項目。

質問1 : ダンサーになったきっかけや経緯

質問2 : カナダのバレエ団での活動状況

質問3 : ダンサーとして大変なこと、気を付けていること

質問4 : ダンス以外の余暇(趣味など)の過ごし方

質問5 : これからの抱負

 

齋藤浩人さん (さいとう・ひろと)

『眠れる森の美女』で 悪役のカラボスに扮する齋藤浩人さん(Photographer Edwin Luk)

 

神戸出身。地元神戸市の貞松・浜田バレエ学園で7歳からバレエを始める。15歳の時に英国のイングリッシュ・ナショナル・バレエ・スクールに留学。3年間の学生生活を経て、中国特別行政区にある香港バレエへ就職。8年間同団に所属中にコールド・バレエ、コリフェを経てソリストに昇格。2007年より現在所属しているCBJへ移籍し舞台で活躍している。

 

質問1 : 父親にスタジオに連れて行かれて7歳の時にバレエを始めました。プロの道へ進んだきっかけは、イギリス留学中に以前働いていた香港バレエの芸術監督が学校にオーディションに来た時。香港バレエで8年間過ごしていた頃にもっと舞台で踊れる所を探していました。ご縁があって、香港バレエに創作作品を提供して共に仕事をした時にCBJの芸術監督に直接メールを送り、オーディションを経て入団して現在に至ります。今年でCBJ在籍期間が香港バレエにいた期間と同じく8年目に入りました。

質問2 : 現在はCBJの一番年上のダンサーとして同団のリハーサルを指導することも多くなりました。また、本拠地トロントのGeorge Brown Collegeの舞踊科のクラスも時々教えています。同市のオープン・スタジオのDance Teqでも夜に指導をすることがあります。日本にはDance Teq Internationalというオープン・スタジオが私の地元の兵庫県西宮市にあり、そこで毎年夏に帰国するたびにワークショップを開催。主にバレエのクラスや、ソロ、そして、パ・ド・ドゥの指導をしています。3年前の夏にマレーシアにあるバレエ学校のプロ・レベルの生徒たちに3週間ほどセミナーを行いました。このような指導は現役ダンサーを引退した後に本格的に取り組んでいきたいことの一つとして、今から大切にしています。

 今年の主な演目の『眠れる森の美女』では、悪役のカラボスを踊っています。この役は女性が踊ることもある役ですが、CBJは男性を配役しています。CBJ演出のカラボスは純粋な悪ではなく、花の根っこや、影、地下の世界に潜む闇の象徴として表現されています。一般的な同作品の解釈ではカラボスは王子とリラの精に負けてしまうのですが、CBJでは最後までカラボスが出演しています。面白い解釈だと思いますので、ぜひ、この舞台をご覧いただきたいです。

質問3 : 30代半ばになって、何よりも健康を第一に考えています。できるだけ長い間、現役で舞台に立ち続けたいので、以前よりも身体のケアや食事には気をつけています。疲れを残さないようにし、毎日できる限り湯船に浸かります。食事はなるべく自分で料理して、ストレッチや軽い状態維持の筋トレなどを習慣にしています。

質問4 : 読書と映画鑑賞、料理も趣味のひとつです。ツアー先で、BC州ではバンクーバーやバーノンなどカナダ各地にいる友人や知り合いと会って共に食事をしたり、話をするのがとても楽しいです。

質問5 : なるべく長く現役を続けられるように、怪我をしないよう、また、怪我をしても無理をせずに早く治して舞台に戻れるように頑張っていきたいです。当面の目標としては40歳までベストの状態で踊れること。あと5年間は頑張りたいです。肉体的には若い頃よりも無理はきかないですし、疲労の回復も遅くなってきています。それでも20代のダンサーがほとんどを占めるCBJにおいて自分にしかできないこともありますので、これからも一歩一歩確実に残りのダンサーとしてのキャリアを歩んでいきたいです。

 

 

石橋芽依さん (いちばし・めい)

練習中の石橋芽依さん (Photographer Kamal Daid)

 

大阪出身。8歳でバレエを始める。ユース・アメリカン・グランプリのコンクールの日本予選後、15歳でThe Australian Ballet School (以下、ABS)への留学が決定。4年後に卒業し、トロントへ。2015年よりCBJに入団。

 

質問1 : 7歳の頃に観た劇団四季のミュージカル『キャッツ』に感動して舞台やダンスに興味を持つようになり、8歳で地元大阪の教室でバレエを始めました。15歳から4年間のABS留学を経て2014年に卒業。2015年からCBJでダンサーをしています。

質問2 : ABS時代に交換留学プログラムでナショナル・バレエ・スクール・オブ・カナダに1カ月間滞在し、2015年始めにトロントにオーディションを受けに再来。幸運にもCBJに入団しました。カナダは私にとって新しい国なのでまだ慣れていないこともありますが、大好きなクラシック・バレエの演目を公演するバレエ団なので毎日とても充実しています。CBJのダンサーは南アメリカ、スウェーデン、ロシアなどいろいろな国からも集まっています。話をするといろいろ勉強になり、みんなとても親切で楽しいです。

質問3 : できるだけたくさん生の舞台を観にいくことです。バレエに限らずコンテンポラリー・ダンスやミュージカル、オペラなどいろんなものを観て、感想をプログラムにメモしたりしています。

質問4 : トロントで街の散策をしています。美術館や博物館、お城など素敵な場所がたくさんあります。秋は紅葉が綺麗で感動しました。オーストラリアでは12月は夏で暑かったので、カナダのホワイト・クリスマスを楽しみにしています。

質問5 : バレエ・ダンサーとして常に成長することです。技術ももちろんですが、芸術性や表現力を伸ばしたいです。

 

 

松井百香さん (まつい・ももか)

練習中の松井百香さん(右) (Photographer Kamal Daid)

 

福岡出身。8歳でバレエを始める。17歳でバレエのロシアの研修参加。2014年にトロントへ渡加。2014年にCBJのジュニア・カンパニー参加後、2015年よりCBJのダンサーとして活動を開始。

 

質問1 : 私がプロの道に進んだきっかけは、とにかくバレエが大好きでずっと踊っていたかったからです。プロを目指したきっかけは、17歳でロシアのバレエ研修に参加し、ボリショイ・バレエ団のリハーサルを見学したり、同校のクラスに参加したことでした。とても刺激を受けて自分ももっと上を目指したくなりました。

質問2 : 私のバレエの恩師である加藤先生と関わりがあるトロント在住の山﨑先生、Nasmith先生から指導を受けることが目的でカナダを訪れました。そして、CBJのパフォーマンスを初めて見た時、振り付けや演出、ダンサーたちの生き生きとした姿に魅力を感じ、このバレエ団で踊りたくなりました。CBJではメインのバレエ公演ツアーの他に学校などに子供のための作品としてVelveteen Rabbitの公演や、ツアーをしながらBallet 101(図書館などでバレエについて説明したり、レパートリーを紹介したりする活動)もしています。

質問3 : たくさんの方からの応援とサポートによって、今こうしてCBJでいろいろな役に挑戦できることにいつも感謝しています。また、常に努力を怠らず、上を目指し続けて練習あるのみだ!と日々のリハーサルに励んでいます。自分の欠点を受け入れて理解し、どうすれば欠点をカバーできるか、自分の良いところをいかにお客様に伝えられるかをいつも考えています。

質問4 : 休みの日は、サイクリングや散歩に出かけて買い物するのが好きです!特にかわいいイヤリングや洋服、靴をみるのが大好きです!

質問5 : 公演に来てくだっさ方の気持ちに何か届くような踊りのできるダンサーになりたいです。そのために、基礎を怠らず努力し続け、人間としても、ダンサーとしても成長できるよう頑張ります。

(取材 北風 かんな)

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。