ターミナル・シティ・グラス・コープのイベント『Spark!』

日本人ガラス作家らがオークションに出品!



今年で4回目になる、毎年6月に催されるターミナル・シティ・グラス・コープ(以下TCGC)のイベント『Spark!』。今年は6月20日(土)の夜に開催される。吹きガラスのデモ、DJ による音楽、飲み物や食べ物が供され大いに盛り上がる。このイベントの前売り券は、$20+GST。当日券は$25。ドリンクチケット2枚と、サイレント・オークション出品作品の作品集付き。

中でも一番の呼び物は、TCGCに関わる約40人のガラス作家がガラスの装身具、器、彫刻などの作品を出品する恒例のサイレント・オークション。毎年オークションに出品するメンバーの日本人作家は5人(五十音順・敬称略)、黒木利佳、新海みゆき、高木美徳、竹ノ内直子、山中幾世。今年も全員がオークションに作品を出品する。

今回は昨年夏に渡加し、TCGCでデモを行った加倉井秀昭氏の作品も出品される。

去年より始まった試みとして、ロック・スター・チケット($50)を購入すると、ドリンクチケット2枚と、オークション作品集に加えて当日のガラス作品制作デモに参加できる。制作経験がなくてもプロの作家たちが指導に当たるので大丈夫!さらにプロが撮影するガラス制作中の写真ももらえるこのチケットは、限定10枚なので早目にチケット購入を。詳細はURLで。

http://www.terminalcityglass.com/spark-2015-saturday-june-20th/ 

  

加倉井秀昭氏作 (Photo by Denise Relke) 

加倉井秀昭氏近影

   

オークションに出品する
5人の日本人ガラス作家の紹介

 

黒木利佳(くろきりか)さん

 東京都出身。父の国際協力の仕事の関係で幼少時を開発途上国で過ごし、大学教育は北米で修める。California College of the Artsにてガラス専攻でBFAを修め、それ以来ガラス制作だけでなく、色々なガラス関連の仕事やイベントに関わってきている。

 2012年にTCGCのメンバーになってからは、イベント委員会の一員として、いろいろなイベント開催の援助をしている。27年間関わり続けている新島国際グラスアートフェスティバルや、以前関わっていたガラス専門誌を通して知り合った世界各地のガラス作家たちが北米北西部を訪れる際には、TCGCでのデモやレクチャーやワークショップの開催を交渉し実現させている。ガラス作品に関しては、オブジェはほとんどガラスと異素材を合わせたミックスト・メディア。最近は主にガラスを銀でセットしたジュエリーを制作。その他、天然石の作品も多数制作。今までの制作活動とスピリチュアルな活動経験を統合して、いかに自分の作品を通して良い「氣」を届けられるか模索中。作品は一部パンパシフィックホテルのSasaki Art Galleryで取り扱い中。

黒木利佳さん作 (Photo by Denise Relke)

黒木利佳さん近影

 

新海みゆき(しんかいみゆき)さん

 滋賀県出身。関西外語大卒業、1991年に交換留学を経て、1992年〜1994年ジョージア州の大学院で社会経営学を修得。その時にガラス学科のプログラムは趣味で履修したので、マイナー・ディグリーに。これがガラスとの始まりで、その後ワシントン州のピールチャック・ガラス・スクールで、さらにガラスアート界の作家さんたちとの出会いがあり、それから作品展、制作を通してお付き合いが続いている。TCGCの作家さんたちとも同じように関わりが続いている。1995年に結婚を機にシアトルからバンクーバーに移住。2003年、長女出産の後にBC州のサンシャイン・コーストにガラス・スタジオと居を構える。

 現在、三児の母。2005年には竹ノ内直子さん、山中幾世さんと日本人ガラス作家3人展を開催。2014年にはノースバンクーバーの市役所で個展 "Unison" を開催。これまでにさまざまなグラントを受け、個展・グループ展にも精力的に臨んでいる。

新海みゆきさん作 (Photo by Denise Relke)

新海みゆきさん近影

 

高木美徳(たかぎみのり)さん

 静岡県出身。会社員時代に地元の小さなギャラリーでガラスの個展を見たのがきっかけで、ガラス教室に通い始める。本格的にガラス制作をしたくなり、トンボ玉の作家さんの講習やデモを見学。そのうちガラスの先生の下請けや、グループ展に参加し始める。結婚を機に渡加。初めの2〜3年は他の仕事もしていたが、夫の協力もありガラス制作をフルタイムに。今は主に作品をマーケットやショー、小売店に出品。グランビル・アイランドのマーケットには定期的に出店。詳細はこちらに。 www.mylampwork.com

 TCGC では、硬質ガラス用の酸素バーナーや、サンドブラスターなどの機材をレンタルしている。その結果、作れる作品の幅が広がった。

 トンボ玉とガラスのジュエリーを制作している美徳さんは「ガラスというユニークな素材をたくさんの方に身に着けて頂き、身近に感じ、楽しんでもらえると嬉しいです。これからも作る楽しみを忘れず、この仕事を長く続けられるよう頑張っていきたいです。将来的にはジュエリー以外のものも作ってみたいです」と語った。

高木美徳さん作 (Photo by Denise Relke)

高木美徳さん近影

 

竹ノ内直子(たけのうちなおこ)さん

 東京都出身。多摩美術大学ガラス専攻卒業後、1989年にワーキングホリデーでバンクーバーに滞在し、ガラス工房に勤務。1994年にワーキングビザ、その後永住権を取得。以来、ガラス・アーティストとして北米を中心に作家活動を続けている。数々の賞を受賞し、グラントも受け、個展・グループ展にも出展してきている。2015年3月にはフロリダでガラスの二人展を開催。

 TCGCには設立からスタッフとして、サンドブラストのスタジオをセットアップ。現在はサンドブラストのプログラムを担当し、教室で指導に当たる。その他、過去3回のイベント『Spark!』 のオークションやスタジオの運営も中心的に推進してきた。個人のガラス制作はフルタイムのガラス作家としてTCGCと自宅の工房で行っている。

 TCGCの設立に過去3年間エネルギーを注いできたが、やっと軌道に乗ってきたようなので、これからは自分の創作にもっと時間を費やしたいと語る直子さん。「人生経験を通した心の声をガラスに表現していけたらと願っています」これからはモントリオールとフロリダにフォーカスを当てて作家活動をしていく意向。

竹ノ内直子さん作 (Photo by Denise Relke)

竹ノ内直子さん近影

 

山中幾世(やまなかいくよ)さん

 静岡県出身。浜松のカルチャー・センターでビーズ作りの基礎を習い、その後、バーナーでガラスを溶かしグラスやアクセサリー、ビーズなどを制作するランプワークに専念。1992年にアメリカのピールチャック・ガラス・スクールのランプワークの夏期講習を受講。日本では全国でグループ展、個展、クラフト展、ギャラリーで作品販売をしていた。

 2003年カナダに移住。現在はビーズ作りを専門とする。 ネット: https://www.etsy.com/shop/ikuyoglassart?ref=si_shop で、ビーズを販売している他、NewSmall & Sterling Studio Glassに作品を置いている。TCGCから材料を買ったりイベントに参加をしており、4月にはここでワークショップを開催。

 「日々勉強を重ね、技術の幅を広げていきたいです。アメリカのアリゾナでビーズの模様のある花の作り方 ビーズの模様にある花の作り方を教えるワークショップの仕事があるので、教える方にも力を注いでいきたいです」と語る幾世さん。

山中幾世さん作 (Photo by Denise Relke)

山中幾世さん近影

 

(取材 北風 かんな) 


 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。