バンクーバーでお祭り騒ぎ カナダデーパレード

素晴らしい晴天の中、カナダデーを迎えたバンクーバーダウンタウンでは毎年恒例のパレードが行われた。さまざまな国籍が交わるバンクーバーを物語るような賑やかなパレードは、午後7時にスタート。今年も50以上の団体が参加、沿道には、大勢の人が押し寄せ、各団体の催しものに歓声をあげていた。

 

威勢のよい掛け声が飛んだ、楽一の神輿 

 

 日系団体として参加した楽一のメンバーが「セイヤーセイヤー」と登場すると、この日一番の盛り上がりを見せた。続いて、パンパシフィック日産の赤堀正明社長が乗る車に先導され、バンクーバー音頭の参加者が浴衣姿で登場。辺りは日本の雰囲気に飲み込まれた。西洋と東洋の文化が入り交じるバンクーバー。カナダの誕生日をそれぞれの国の文化の形で、平和に祝福する様子が素晴らしかった。今回参加した日系団体の代表者に話を聞いた。

  

バンクーバー音頭の様子

 

◎バンクーバー音頭 平野弥生さん・小川修平さん

◇バンクーバー音頭を始めたきっかけ

平野「4年前にバンクーバーでの日本の文化を広める機会を頂き、最初は阿波踊りを皆で踊りました。しかし、『本当の阿波踊りとは違う』という声を聞き、だったら自分たち独自の曲と振り付けでやろうと思いました。今年で4年目となり、最初は約80人、一昨年が約100人、去年が約120人と年々参加していただける方が増えています。そして今年は、なんと200人以上の方が集まりました」

今年は何か特別な取り組みをしましたか?

小川「例年は、ホームページ告知と浴衣姿でビラ配りをしていました。しかし、今年はそれに加えて印象に残る事をやりたいと思い、フラッシュモブやゲリラライブなどを行いました。日本食レストランやバンクーバーアートギャラリーの前広場、イングリッシュベイなどで浴衣姿で踊りました。反響は、予想以上に良く、多くの人が私たちの踊りを見てくださいました。認知度も去年以上に上がりました。これが功を奏して今年はより多くの人に参加していただけました」

バンクーバー音頭への想い

小川「今回留学で来たのですが、日本でもイベントの運営や主催を行い、さまざまなイベントを開催しました。30万人以上の方が来てくださるカナダデーでのパレードで、自国の文化を紹介できることにやり甲斐を感じています。私たちの団体はさまざまな国籍の方が参加しており、英語を使う機会も多く、とても良い刺激と経験が得られました」

平野「もともと始めた時に10年は続けたいと思っていました。今年は、在バンクーバー日本国総領事館が開館125周年であり、来年は横浜との姉妹都市(提携)が50周年を迎えます。日本とさまざまな関わりがあるバンクーバーで、多くの人に気軽に日本の文化に触れて欲しいと考えています。日本の伝統は何か堅苦しいところがあって、それは良い面でもあり、悪い面でもあると思っています。できれば多くの人に気軽に参加していただいて少しでも日本の文化を感じていただければと思い、バンクーバー音頭をその一歩として考えています」

 

◎楽 一 清野健二さん

イベントへの参加について

「もちろん、どなたでもご参加頂けます。当日の参加も受付けていますので是非参加して下さい!参加費として10ドル頂きますが、楽一特製オリジナルTシャツ、手拭い、そして手作りの喧嘩札を差し上げています」  

在バンクーバー日本国総領事館開館125周年にちなんだイベントは?

「楽一では、総領事館を応援するため、楽一特製オリジナルTシャツに総領事館開館125周年のロゴを入れさせて頂きました。岡田誠司総領事は、とても文化交流に力を入れており、日系人の歴史紹介などにも携わっていらっしゃいます。神輿にも積極的に参加し、最初から最後まで担ぎきってくれるなど、『皆の思いを一緒になって担ぎたい』という心意気を感じております」

神輿の重さ、担ぐために必要な人数は?

「とても重たいです!なんといっても皆さんの思い(重い)を担ぐのですからそれは計りきれないほど重たいです。担ぎ手は約40人は必要です。ダウンタウンのパレードは、約1.5キロメートルを1時間半かけて担いでいくので、途中で交代が必要になります。40人の2〜3倍の担ぎ手がいないと、なかなか厳しいです。担ぎたい気持ちがある方は大歓迎です」  

バンクーバー生まれの新しい神輿について

「この神輿は、楽一実行委員をはじめ企業の方や地元のレストランなど有志の方々とバンクーバー在住の宮大工・根岸正さんなど多くの皆様のご協力のもと作成されました。土台はバンクーバーで作られましたが、飾り部分は茅ヶ崎の職人の方にお願いしました。今年、縁あってその方とお会いすることができたのですが、彼の神輿に対する思いはとても熱いんです。彼が作っている神輿は、茅ヶ崎のとある神社のものです。約200年前に京都の神社から分社されたため、分社された自分のところの神様を、京都の親元(神社)へ里帰りさせてあげたいと思い、実行しました。このような発想は普通ありえないもので、非難の声などもあったようですが、そんなことを気にせず、無事に成功させたそうです。楽一の神輿を作った人がこのような素晴らしい発想力と思いを持った方でとても嬉しかったです。茅ヶ崎の職人さんに出会えたことは、私にとってとてもプラスになり、また一つ担ぐ思いが増えたので今年も神輿が重くなりますね」

清野さんにとって楽一はどのような存在ですか?

「今となっては、家族のような存在です。家族ぐるみのつき合いも多いので、実行委員会のメンバーは、家族同然ですね。参加してくださる方々にも『人との繋がり』の大切さを感じて欲しいと思っています。私自身、日本にいる時よりも、日本の文化や伝統などに興味を持ちましたし、何より『人との繋がり』を意識するようになりました。日本人としてのアイデンティティーを再確認させられました。日本にいると見えない日本の文化の素敵なところや、現代社会では薄れがちな人との繋がりをこのバンクーバーに来て改めて感じることができるのは素晴らしいと思っています。そうしたことを、私たちの活動に参加し感じとっていただけたら嬉しいです。異国の地で、日本人としての自信を持って生活していただきたいと思い、日頃活動しています。  スティーブストンのサーモンフェスティバルとダウンタウン、そしてパウエル祭に参加しています。パウエル祭もこれからですので、是非一度、一緒に神輿を担いでみませんか?楽一一同、心より歓迎いたします!」

 

留学エージェントを通してこのイベントを知り、今年初参加の辻あかねさん、鈴木智恵さん

 

川本愛奈さんは、日本カナダのハーフで日本に住んでいたが今はカナダに在住。友人のSarah Monteroさんと一緒に今年初参加

 

柳沢貴司さんは、バンクーバー音頭ができた頃から参加している。Mynor De La Cruzさんは、ガテマラ出身で今年初参加。以前から日本に興味があり空手などもやっている

 

Yehmarciaさん一家は、台湾出身。今年初めて家族で神輿担ぎにチャレンジした

 

(取材:仲野 琢杜  取材協力:楽一の皆様及び清野健二さん、バンクーバー音頭の皆様及び平野弥生さん、小川修平さん)


 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。