バレエダンサー

 

ディヤノバ百合子さん

 

 最初に南百合子さんというバレエ・ダンサーに出会ったのは、2007年。寝食を忘れるほどバレエが好きな彼女は、カナダの舞台で踊れる歓びを語っていた。その後、結婚・出産を経験した後もダンサーとして活躍している。BC州バーノンにツアーで訪れていた百合子さんに話を聞いた。

 

  

『フィデリオ』のマルツェリーネ役に扮する百合子さん(photographer Aleksandr Onyshchenko)

  

Q.カナダに来たきっかけは?

A. 2002年にヨーロッパのバレエ・カンパニーのオーディションにチャレンジしましたが、残念ながらダンサーとして契約ができませんでした。そこで、翌年にカナダのバレエ・カンパニーを回りました。そして、現在も所属しているニュー・ブランズウィックのモンクトンにあるバレエ団、アトランティック・バレエ・シアター・オブ・カナダと契約できたので、カナダに移住しました。同じバレエ団のダンサーのセルゲイ(Sergiy)と結婚し、息子を授かりました。産休後にダンサーとして同団に復帰を果たし、今やここが私の居場所だと実感しています。

 

Q.現在のお仕事の内容は?

A. カンパニーでは朝10時からダンスクラスを受けます。お昼のあと4時まで演目のリハーサルに励み、忙しい時は5時まで踊り続けています。その他、バレエ・スクールでの指導を週に3日行っています。バレエ団のツアーで夜が舞台の日は、たいてい昼間は自由時間。空き時間がある時は観光ができることもあり、楽しんでいます。昨年の10月にドイツに行った時はホテルの朝食がとっても美味しくて幸せでした。体型はいつも気にしないといけませんが、私は食べることが大好きです。このバレエ団は少人数で今シーズンは全員で9人。ツアーでは車2台で移動することが多いです。家にいると子育てで慌ただしいので、ツアー先ではお昼までゆっくりできるのが嬉しいです。

 

Q.楽しみは?

A. 仕事以外は、バレエの教えと子育て。そして、家事に追われています。現役のダンサーとして踊ることはもちろん、バレエを教えることも好きです。息子は3歳になり、わんぱく盛り。成長と共にいろいろな事が自分でできるようになってきました。子どもならではのかわいい仕草に癒される毎日です。

 

Q.これからの出演予定は?

A. 今シーズンはBCツアーの後は、ニュー・ブランズウィックに戻って昨年10月のドイツ・ツアーの演目、『オペラ座の怪人』の公演があります。この演目では主役を果たしています。私にとっては大きなチャレンジで、この作品では夫と一緒に踊る場面もあります。お互いダンサーとして、舞台作りのために言い合ったりもしますが、これも貴重な体験です。

 

 

スタジオでリハーサル中、男性ダンサーBrianさんにリフトされている百合子さん(写真提供 ディヤノバ百合子さん)

 

 

Q.これからの抱負は?

A. 踊っている以上は、もっと踊りに磨きをかけられたらなあと思います。あとは家族が幸せで健康でいられるようにしていきたいです。

 2月20日の同団の演目『Piaf』のバーノンでの公演は盛況で、750席が満員御礼だった。Parisian citizenとして踊る百合子さんは、ますます踊りに磨きが掛かったように見受けられた。人生経験が積まれていくと、踊りに反映されるバレエ・ダンサーという仕事。これからの百合子さんの活躍が楽しみである。

 

ユリコ・ディヤノバ(Diyanova):福岡県出身。3歳よりバレエを習い始める。5歳で大阪に移り、大屋政子バレエ教室に通う。その後、16歳でアートバレエ難波津にて故石川恵巳に師事。コンクールで受賞しプロのダンサーを目指し始める。22歳で初めてヨーロッパへ出向きバレエ・カンパニーのオーディション巡りをする。2003年にアトランティック・バレエ・シアター・オブ・カナダにダンサーとして契約し、今も活躍を続ける。 

 

百合子さん

 

    

(取材 北風かんな)

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