ピアノとフラメンコギターのデュオ『ヴィーノ&フォルテ』
ピアニスト オリアナ・ホワイトさん
流れる雨のように正確に刻まれるピアノのアルペジオに、セクシーで力強いフラメンコギター。この意外な組み合わせが情緒あふれる旋律をしっとりと伝えていく。本業は建築士だというピアニストのオリアナ・ホワイトさんに話を聞いた。
グランドピアノを囲むようにしてサロン風コンサートを行ったオリアナ・ホワイトさん
英語にイギリスのアクセントがあるようですが
生まれたのはイギリス、ノースヨークシャー州のハロゲートという小さな町です。7歳のときに父の仕事で家族でドバイに移りましたが、数カ月後にイラクとの戦争が始まったので浜松市に行き、1年半祖父母と暮らしました。そこで小学校に通ったおかげで、日本語の読み書きができるようになりました。1991年からシンガポール、2000年からイギリス、大学はウェールスにあるカーディフに行きました。
日系ですね?
父は英国人、母は日本人です。父はカナダが好きで、時間があるとデンマン島で過ごしています。
母はシンガポールで有名なバイオリニストで、音楽学校を経営しています。桐朋学園で久保田良作と斎藤秀雄に習い、東京のヤマハホールでは浩宮様の前で演奏したそうです。エリザベス女王の前で演奏することもよくあります。
ピアノ歴は?
ピアノを習い始めたのは9歳のときで、ロンドンのトリニティカレッジのプログラムで優秀な演奏家に与えられる証書をいただきました。シンガポールではコンクールで1位になったり、シンガポール交響楽団主催のピアノマラソンに出場したりしました。
母、マサコ・鈴木・ホワイトはプロのバイオリニストで私のピアノに影響を与えた人です。毎日2時間ピアノの練習をするのは、うちでは普通のことでした。小さなころから映画音楽を録音して部屋で聴いていて、サウンドトラックの中にクラシックとヘビーロックのミックスがあるのも興味深く聞いていました。
本業は建築関係とか
数学と図面が好きだったので建築科で修士課程を修了し、イギリスでは建築士として働きました。イギリスとカナダでの資格が違うので、バンクーバーでは建築士ではなく建築デザイナーとして4年間働いています。 でもピアノと音楽から離れたことはなく、時間がある限りピアノを教えたり、イベントやコンサートで弾いたりデュオの演奏もしています。
オリアナさんのピアノとフラメンコギターのアイヴァン・トュカコフさんとのデュオ『ヴィーノ&フォルテ』。お互いに曲の紹介をしたり歌が入ったり、ワインを飲みながらリラックスしたムードで行われるコンサートが好評
ユニークな組み合わせのデュオですね
2012年にフラメンコダンスのレッスンを取ったときに、ギタリストだったアイヴァンと出会いました。キューバのエキゾチックな音楽を聴いたときにフュージョンデュエットを思いつき、アコースティックギターとピアノでユニークなものを創り出そうとしました。
私はクラシック畑でアイヴァンはバルカン・フラメンコ・スタイル。そこから 『Vino & Forte』 が生まれました。ヴィーノはワイン。フォルテは強くという意味です。ワインを飲んでリラックスしながら聴いてもらいたいと、この名前をつけました。
日本語タイトルの自作曲もありますね
『星空』はデンマン島でデッキに座って空を眺めていたときに、流れ星やたくさんの星を見たときのインスピレーションです。『自然』は雨、太陽、雪山、夏のビーチ、澄んだ空気などバンクーバーでの暮らしの中から生まれました。
今後の予定・夢は?
デザインでも音楽でもアートに対する情熱は変わりません。自分の音楽スタジオを持って教えたり、コンサートやアートショーを開いて友人やファン、みなさんに楽しんでもらうことです。母と一緒にバイオリンとピアノの学校を開いて教えることも夢です。
ピアニストのオリアナ・ホワイトさん
プロフィール:プロフィール:1982年英国生まれ。ドバイ、浜松市、シンガポール、イギリスでの生活を経て2010年からバンクーバーへ。建築事務所勤務の傍らピアノソロやフラメンコギターのアイヴァン・トュカコフとのデュオ『ヴィーノ&フォルテ』で演奏活動をしている。
(取材 ルイーズ阿久沢)