陶芸家

仁美マッケンジーさん

 

 毎秋行われる、地元アーティストのスタジオを訪ねて作成方法を見学したり、アート作品の展示販売を楽しめるイベント、イーストサイド・カルチャー・クラウル。カナダに移住して4年目でありながら、手作りの素晴らしい作風で、今年は出展3年目となる日本人陶芸家を取材してほしいとの推薦があった。そこで陶芸家、仁美マッケンジーさんに話を聞いた。

 

  

アイスクリーム・ボールとスプーン(ポーセリン)

  

◇日本ではどんなお仕事をなさっていましたか?

 大阪で服飾専門学校(服飾専門学科1&2年、ファッション・デザイン科3年目)を卒業後、東京のアパレル会社でレディース・カジュアル・ウェアのデザイナーとして働いていました。外国人デザイナーとのライセンス部門もあり、初めての海外出張が英国のロンドン・コレクションでした。その時、見たものすべてに刺激を受け、通訳を通さず英語力をつけたいと思いました。

 大阪に戻り、今度はアパレルの会社で、主にイタリア製の生地を使った大人の女性向けの服をデザインしていました。その後、1992年に1年間ロンドンに語学留学した際に、今の主人と出会いました。一旦帰国して仕事に戻り、1996年に再びイギリスに戻り結婚しました。

 

 

◇陶芸家になった経緯を教えて頂けますか?

 ロンドンで住み始めた頃、なかなか気に入った食器が見つからず自分で作ってみようと陶芸のパートタイムのコースを始めました。日本の陶芸をよく勉強された英国人の先生方に巡り逢えたことで、陶芸のフルタイムのコースを勧められたのが陶芸を始めるきっかけとなりました。2005年までロンドンで陶芸のコースを取っていました。

 

バンクーバーに移住したきっかけは?

 2011年に主人の仕事の関係で、ロンドンからバンクーバーに移住しました。翌年、運良くスタジオを見つけることができたのでカナダでも作品づくりを続けています。ロンドン在住時は、イギリスからスコットランドまで多くのギャラリーに自作の陶芸作品を売ってきました。移住して3年目のカナダでは、まだまだこれから。たくさんの方々に私の作品を知っていただけるよう努力していきたいと思います。

 

前職のデザイナーのお仕事と陶芸に共通点はありますか?

 日本ではファッション・デザイナーとして、生地の流れるようなドレープやフォルムをデザインしていました。この体験を私の陶芸の作品に生かせないかと思っています。陶芸の「ろくろ」を回している時、そのときの気分で新しい形が出来上がります。いつでもどこでも新しいデザインのことを考えているので、自分は何かを創造することが好きなのだと実感しています。

 

ワインクーラーとゴブレッツ(ポーセリン)

 

◇仁美さんの陶芸制作のプロセスを教えて頂けますか?

 私の90%の作品は「ろくろ」を回して作っています。「ろくろ」でシリンダー状のものを作って、それを切り開いてつなぎ合わせたり、もっとねじってみたりしています。ポーセリンは早く乾かすとすぐにひびが入りますので注意が必要です。ろくろで形を作った後で2~3時間置いて少し固くなったところで、上から板のようなもので押さえつけると、その圧力で「うね」のような表情が現れます。よく見るとそれぞれ表情が違うところが面白いのです。この「うね」のような表情を引き立たせるのは透明な釉薬です。アクセントに黒い釉薬をつかっている作品もあります。

 

仁美さんにとって陶芸とは?

 陶芸は趣味でもあり、仕事でもあります。私はアートとして陶芸をしています。美しさと機能性を兼ね備えた食器として、それでいて使いやすく、それらを分かってもらえる方に日々使ってもらい、楽しんでもらえればと思っています。

 

これから作品を出展する機会はありますか?

第18回イーストサイド・カルチャー・クラウル 2014

会期: 11月20日(木)から11月23日(日)

会場: 255 The Mergatroid Building, East Vancouver

 

グレート・スタッフ2014/クリスマス・ギフト・セール

会期: 11月14日(金)から12月14日

会場: Ferry Building Gallery, West Vancouver

 

どこかの展示会やクラフト・フェアーなどで私のブースを見かけましたら、お気軽に声をかけていただけると嬉しいです。

 

ウェブサイト: www.hitomimckenzie.com

 

仁美さん近影

プロフィール:大阪出身。専門学校卒業後、東京のアパレル会社でデザイナーとして勤務。1996年に結婚。イギリスに移り陶芸のコース受講。その後、ロンドンで陶芸家として活躍。2011年バンクーバーに移住。翌年よりスタジオを構え陶芸活動を開始。Potters Guild of British Columbia の会員。

    

(取材 北風かんな)

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